打った瞬間、それと分かる大きな1発だった。8回無死一塁。西武秋山翔吾外野手(29)は日本ハム井口の6球目、151キロ内角高め直球を、右翼席上段に運んだ。「いい打ち方ができた。もっと早いカウントで仕留めないといけないですけどね」。初回に続く、この日2本目の4号2ラン。21日に続く、1カード2度目の「先頭打者弾を含む1試合2発」を達成した。

 「どの試合も気持ちを入れて臨みますけど、今日は特に緊張した」という。この日、スタジアムに「ひとり親家庭の親子」16組35人を招待していた。秋山も12歳の時に、野球を教えてくれた父を亡くした。一時は2割2分前後だった打率を、この日までに3割に上げてきたが「調子がいいとか悪いとか、今日は関係ない。とにかくいいプレーをみせられるよう頑張りたい」と表情を引き締めていた。

 日本ハム先発メンドーサには、チームは7連敗中だった。秋山も通算37打数6安打、打率2割1分6厘で長打0と苦手としてきた。「初回も追い込まれて、何とかつなごうと思っていた。でもいい捉え方ができた。あんなに飛ぶとは思わなかった」。本人も驚きの1発で、招待した子どもたちを喜ばせた。

 7回無死一塁の場面でも、二塁打でチャンスを広げ、勝負を決する1イニング5得点につなげた。これでチームは2位浮上。15年7月21日以来となる「貯金5」とした。しかし秋山は試合後、西武第2球場の室内練習場に直行した。約30分間、マシンを相手にバント練習。「失敗したので、その日のうちにやらないと」。7回の二塁打の直前、2度バントを失敗していた。

 3日間で4本塁打と量産したが、本来のプレースタイルは違うと自覚する。チームを優勝に導くため、勝利につながる確実なプレーを重視する。【塩畑大輔】

 ▼秋山が先頭打者本塁打を含む2発。秋山は同じく1番で出場した21日日本ハム戦でも1回と6回に本塁打を打ったばかり。3試合で2度も先頭打者弾を含む2発を記録したのは85年宇野(中日)が8月14日大洋戦、17日ヤクルト戦で記録して以来、32年ぶり。今回のように同一カード3連戦で2度記録した選手は過去に見当たらない。