ソフトバンクが6試合ぶりに2桁に乗せる14安打を放ち、逆転勝ちで連敗を2で止めた。育成出身の若手捕手甲斐拓也(24)、主将で4番内川聖一外野手(34)の熱い思いが打線を活発化させた。

 2点を追う5回に追い付き、同点の6回1死一塁。積極策に9番甲斐が応えた。工藤監督は送りバントではなくランエンドヒットを選んだ。見逃せばボールの低めフォークに食らいついた打球は、中堅大田が懸命に飛び込む前に落ちた。工藤監督は「バントも考えたが逆方向も練習しているし、打撃の調子もよかったので、そこにかけてみようと思った」とニヤリ。「何とかしたかった」という甲斐の必死の姿勢が主力に大きな刺激を与えた。続く1番中村晃が初球を左翼へ決勝犠飛。柳田も「甲斐がすごい気持ちのこもったヒットを打っていたので自分もマネしていきました」と中前適時打で突き放した。

 この日試合前練習では内川が負傷する緊急事態もあった。三塁でノックを受けていた内川の左手を、福田のフリー打撃の打球が直撃。練習中に北九州市内の病院に直行。幸い骨には異常がなく左手甲の打撲。「大丈夫ですよ」と4番一塁で出場し2安打。守りでも一塁への強いゴロを体に当てて止めるなど、熱いプレーで逆転劇を演出した。

 熱い男、甲斐は「これからも期待に応えられるようにやっていきたい」と気を引き締めた。貯金を再び1に戻した北九州での熱い試合は、チームを勢いに乗せそうな大きな1勝となった。【石橋隆雄】