「世界の千賀」は北九州でも強かった。ソフトバンク千賀が2被弾4失点ながら3勝目を挙げた。「今日はチームが勝って、野手のみなさんが打ってくれたことが一番」。8回117球で10三振を奪ったが、背番号41に笑顔はなかった。試合後、右腕をがっちりアイシングして移動のバスに乗り込むと、何度も「今日は僕じゃなく野手が打ってくれたことがよかった」と、感謝の言葉を繰り返した。

 3回に松本にプロ1号となる先制3ランを被弾。8回にも2号ソロを献上した。両翼92メートルと狭い北九州だからこそ、警戒しなければならない1発。だが、中盤はしっかり自らをコントロールした。5回には2死二、三塁のピンチを招いたが、近藤を145キロの直球で空振り三振に仕留めた。その後は7回の先頭石井まで5者連続三振に切った。窮地をしのいでリズムに乗ると、打線も呼応した。5回に同点、6回には2点を挙げ勝ち越しに成功。「長いイニングを投げようと思っていたので、そこはよかったと思う」。自身の3連勝はすべて8回を投げ切った。

 和田、武田が抜け、今や千賀が先発ローテの軸となった。WBCでひと回り成長した右腕に、首脳陣の要求も高くなる。佐藤投手コーチは「(千賀には)これくらいやってもらわないと困るでしょ。8回は投げてもらわないと」と言った。自慢のフォークを武器に3戦連続の2ケタ奪三振も記録。「え、2ケタ? 三振じゃなくてゼロに抑えたかった」。千賀はポロリと本音をのぞかせた。【佐竹英治】