最終回の追い上げも、勝敗には影響しなかった。

 ロッテは9回に4安打と敵失を絡め、6点を挙げた。今季の1イニング最多得点で、15試合ぶりに2ケタ安打も記録。だが、ビハインドがあまりに大きすぎた。10点差が4点差になっただけ。伊東勤監督(54)は「先発の時に打たないと」とバッサリ。楽天則本に7回6安打1点に封じられた。対照的に、スタンリッジは3回7安打6失点KO。先に失点すると、チーム打率2割未満の打線にはね返す力はなかった。またも負のパターンに陥り、借金は今季最多9となった。

 策は実らなかった。「4番DH・井口」に「6番一塁・福浦」。両ベテランを今季初めて同時に先発起用。伊東監督は「最終手段じゃないけど、2人にもやってもらわないと」と豊富な経験に託した。40歳を超えた選手を2人以上スタメンで使うのは、ロッテでは初めて。ここまで1人は代打要員とし、疲労も考慮しながら使ってきたが、もう余裕はなかった。しかし、福浦が2安打を放っても、打線はつながらなかった。

 試合前、伊東監督は長い監督生活を振り返り「ここまで打てないことはなかった」と打ち明けた。原因に“軸不在”を挙げた。「家でいえば、大きな柱がなくて周りの柱だけだからグラグラしてしまう。4番。それと同じくらい重視している1番」。デスパイネが退団した穴が埋まらない。1番も、先発選手の通算打率は1割5分1厘にとどまる。さらに、昨季首位打者の角中が負傷離脱。清田、中村、パラデスら不振で2軍の選手も多い。

 光はないのか。試合後のベンチ裏。重たい空気が漂う中、主将の鈴木は声を絞り出した。「一生懸命やるのは当然。状況を打破しないと。試合は待ってくれない。なぜダメか明日1日、冷静に頭を整理して、試合で闘志を燃やします」。勝つしかない。【古川真弥】

 ▼ロッテは42歳の井口と41歳の福浦をスタメン起用。40歳を過ぎた選手をスタメンで2人以上使ったのは球団史上初めて。パ・リーグで40歳以上の野手2人がスタメン出場したのは、08年10月1日にオリックスがソフトバンク戦で清原(41)ローズ(40)を起用して以来。