1週間前の4月26日、40歳の誕生日を迎えた。不惑を「(引退して)どこかで解説してるんじゃないかと思っていた」と冗談めかすが、情熱は衰えていない。遠征先のホテルでは2つの枕を用いる。左側は柔らかく、右側に硬めの高反発タイプを置くという。「右肩の方は負荷がかからないように。スペースができるように」。右の枕が支えになれば、寝返りを打っても右肩が深く沈まない。細やかな気配りは一流の証しだ。

 年輪を重ねた分だけ、未来を見通せる。2月の沖縄・宜野座キャンプの休日前夜、北條や高山、江越ら若手を食事に誘った。焼き肉店に入ると打撃投手が顔をそろえていた。年齢が離れたスタッフたちと心を通わせるひとときを作った。

 「今日は若い選手を連れてきました。裏方さんは何十年もやっているし、学べることが多くあるから」

 次代のタイガースを支えるホープたちにプロの心構えを説き、グラウンドでも体現する。9回は二塁から激走して生還。「まだ走れますね」とヒーローインタビューでおどけると客席はドッと沸いた。今季最多タイの貯金4に戻し、2位を堅守。再び首位をうかがう。【酒井俊作】

 ▼福留の1試合4安打は、4月21日巨人戦に続き今季2度目。日本球界での1試合4安打以上は19度目(4安打15度、5安打4度)だが、年に複数度は05年の4試合以来。また5月までに2度記録したのは、満26歳シーズンの03年(4月12日広島戦、同25日ヤクルト戦)以来。なおメジャーでは、カブス在籍の09年に2度の1試合4安打がある。

 ▼福留は今季、神宮での2試合で打率4割4分4厘(9打数4安打)。東京ドームでの5割(12打数6安打)、横浜での4割2分9厘(7打数3安打)と合わせ、関東3球場で4割6分4厘(28打数13安打)と当たっている。