昨秋最下位の東北工大が東北福祉大を3-2で振り切り、12年秋以来の大金星を挙げた。1-1の6回2死二、三塁、7番久保京太外野手(2年=塩釜)が決勝右越え適時打を放ち、3投手の継投で逃げ切った。今年2月から就任した元ロッテの佐々木信行ヘッドコーチ(64)が改革を断行。練習メニューを一から見直し、04年春を最後に25季連続Bクラスに沈むチームに浮上のきっかけを与えた。明日7日の第2戦に勝利し、78年春以来2度目の勝ち点奪取を狙う。

 まるで優勝したかの騒ぎっぷりだった。9回2死二塁。夏目大成投手(1年=宮城工)が投じた5球目のフォークに、プロ注目の4番・楠本泰史外野手(4年=花咲徳栄)のバットが空を切る。その瞬間、東北工大ナインは夏目に駆け寄り、喜びを爆発させた。直前の4球目を右翼ポール際に特大ファウルを打たれた1年生は「頭が真っ白になった。気持ちでいくしかなかった」と試合後に号泣した。

 「佐々木効果」での大金星だ。2月の就任後、約4時間の練習メニューの効率を上げるところから始めた。グラウンド内に内野ノック2カ所、外野ノック、投手のけん制練習と4つに分け、選手の手が空かないように工夫。打撃練習では内外4カ所で打ち込み、待っている間は連続ティーで1日300球以上を打ち込んだ。6回に勝ち越し打を放った久保京は「去年まではサークルみたいな感じ。しっかり見てくれるし、今までとは違う」と成長を実感していた。

 投手陣にも好影響をもたらした。7回6安打2失点と粘った先発の庄司恭啓投手(2年=東北)も「佐々木効果」を強調する。投げ込み量が少なかった昨年は四球を連発。今年からはオフに2日で約400球のペースでの投げ込みを命じられ、この日は2四球。「元プロの指導は違う。冬場に投げ込んで制球力がついてきたし、やってきた自信があった」と胸を張った。

 次なる目標は福祉大からの勝ち点奪取だ。佐々木ヘッドコーチは「今まで伸びしろがあったのに、やってこなかった。だんだん内容がよくなってきたし、イージーミスが減った」と手応えを口にする。投打に充実する「新生」東北工大が、仙6の盟主に襲いかかる。【高橋洋平】