DeNAは5点差をひっくり返す劇的な大逆転だった。流れを変えたのは梶谷隆幸外野手(28)。8回、1点を入れてなお1死満塁から145キロ直球を狙いすましたように捉えた。右手1本の大きなフォロースルーで運んだ打球は右翼席中段に吸い込まれる7号満塁弾。「完璧でした。みんながつないでくれた場面。何とか(走者を)かえしたかった」と満面の笑みでうなずいた。

 弱点を逆手に取った。打線はヤクルト小川の前に7回まで計2安打。自身も1回無死三塁での三飛を含む無安打で迎えた打席。「得点圏でしたし、自分が弱いと思われてるポイントに1回は来るだろうと。チェンジアップ、フォークがきたらごめんなさい、で。完全に決め打ちです」。内角への速球1本に狙いを定め、起死回生の1発を決めた。

 今年から始めたルーティンが打撃を支える。ゲーム前練習のティー打撃。試合では右手小指をグリップエンドにかけてバットを握るが、指2~3本分短く持って打ち始める。「短い方がバットの軌道を確認しやすい。頭付近を通る時の感覚や構えた位置からの動きだしをチェックしながら、徐々に長く持って振っていく感じです」。わずかな感覚のズレを日々修正しながら、結果につなげている。

 フォームは両目で投手が見えるように開き気味に変更。打席では昨季より半足分ベースから離れて立つ。「ここまで中途半端な成績が続いてる。何かを変えないと」と変化を恐れない姿勢もリーグトップの本塁打の土台になっている。「すぐ抜かれますよ」というコメントはお決まりになってきたが、勢いはまだまだ止まらなそうだ。【佐竹実】