2試合ぶりの先発でいきなり快音を響かせた。2回の第1打席。相手は来日1年目の長身右腕ブキャナンだったが、捕手中村との駆け引きの勝負でもあった。直球系4球で追い込まれた後の5球目のカーブを捉えた。日本6年目のエルドレッドにとって、緩急を使った投球は定番の攻められ方。変化球は頭にあった。4月4日中日戦の今季初本塁打も25キロの球速差をはじき返したものだった。「甘く来たところを自分のスイングでしっかり捉えられたよ」。日本球界を熟知した打撃に納得の表情だ。

 7日阪神戦を欠場し、8日は移動のみ。休養十分だった。試合前には石井打撃コーチから「休養ないよ。今日から3つ(試合)行ってもらうよ」と日本語で告げられ「はい、分かりました」と流ちょうな日本語で笑いながら返していた。チームメートとの日常会話は通訳を介さずに行い、外野でのポジション取りも丸から日本語で受ける。昨季2軍で調整していた時期には、若手選手に打撃指導をしたこともあった。丸は「もう、ほぼ日本人ですよ」と認めるほどなじんでいる。

 広島打線がヤクルト先発ブキャナンの前に苦しむ中、7回には左前打を放った。打率も出場2試合ぶりの複数安打で3割4分に上昇。7本塁打はリーグトップの梶谷(DeNA)に並んだ。延長12回サヨナラ負けで4連敗と苦しむチームを再浮上させるとともに、自身3年ぶりのキングへ。頼れる大砲は、快音を響かせ続ける。【前原淳】