楽天の岸孝之投手(32)が、力投も実らず今季初黒星を喫した。21日のロッテ戦に先発。1点リードの8回2死一塁から、5番鈴木に痛恨の逆転2点本塁打を浴びた。初回3者三振と最高の立ち上がりを見せ、11三振を奪ったが「それも負けたので何の意味もない」と、4勝目が持ち越しとなり肩を落とした。

 鈴木にはそれまでの3打席、速球を2安打された。8回の打席は4球目のスライダーがど真ん中に入り、右翼席に運ばれた。3球目も同じ球で、ボールになったが内角を鋭く突いた。「その前(3球目)のスライダーが良かったので、欲を出してしまった」。4回、8回と2死走者なしからの失点。4月9日に西武から移籍後初勝利を挙げたZOZOマリンで、今回は悔しさだけが残った。

 7回まで97球。「球数も少なかったし、体力的にもいけた」と言う。8回は先頭から2者連続三振。続く4番井口を2球で追い込みながら、中前打を許したのが鈴木の1発への伏線になった。中継ぎ、守護神・松井裕の登板が多いことを考慮して、岸にマウンドを託した梨田監督は「あそこで代えることは考えていなかった。良く投げてくれた」と責めなかった。

 首位を走る楽天は同一カード3連戦で、今季初めて負け越した。梨田監督は「今までなかったのが不思議なくらい」と話す。7戦全勝だった日曜日も初めて黒星がついた。「また頑張ります」と、岸はしっかりとした口調で前を向いた。【久野朗】