虎が首位陥落のピンチを迎えた。先発した藤浪晋太郎投手(23)が6回、著しく制球を乱し、5回1/3で6安打4四球3失点。DeNA戦は8連勝を飾っていたが、14年4月8日以来の同戦での敗戦投手となった。6回には守備の乱れも重なり、チームは大量失点。勝利した2位広島に、ゲーム差なしに迫られた。

 金本阪神が首位陥落の危機に立たされた。悪夢の6回。藤浪が崩れた。1死から6番嶺井に3ボール。指が引っかかり、捕手も捕れない球もあった。フルカウントまで持ち込んだが、中前に運ばれる。ここから粘れず、バランスが崩れていく。「いい感覚、いいボールもあったと思った。狂い始めたら、戻せない自分。技術のなさだったり、引き出しが少なくて、悔しいです。メンタル的に焦って、戻せなかった」。続く田中浩にも連打を許し、投手井納に先制タイムリーを打たれた。ここで金本監督がベンチを出た。6回途中、103球での降板指令だった。

 5回まで4四球を出しながらも、要所で粘った。3回2死一、二塁では4番筒香に対し、151キロ直球を内角低めに投げ、見逃し三振を奪った。散々な内容ではない。それだけに6回の変調は残念だった。金本監督は交代の場面を振り返った。「もう、あれ以上、投げ切るのは無理だという判断。ストライクを取るのに、精いっぱいだから」。今季、藤浪は与えた33四球のうち、半数を超える19個が走者なしの状況だ。マウンドで自分との闘いに苦しんでいる。「うーん。まあ、原因は本人が…、おれは見て、どうこうは分からん。本人が自分で打開していくしかないんだから」と指揮官も苦い表情を浮かべた。藤浪はDeNA戦では14年4月8日以来の黒星。同カードの連勝は「8」で止まった。今後も先発ローテーションを任せながら、立て直してもらうしかない。

 悩める右腕がマウンドを去った後も、悲劇が続いた。6回2死満塁で、ロペスの飛球を今季初スタメンの伊藤隼が捕球できなかった。序盤は右翼方向に吹いた風も、6回にはセンター方向へのフォローに変わっていた。1度は前進。あわてて後ろに下がったが、落下点で体勢を崩した。「風だろうけど、風は常に見ておかないといけないんだから」と指揮官も苦言を呈した。5失点が重くのしかかり、初戦を落とした。2位広島とはゲーム差がなくなった。6日から維持してきた首位の座が危うくなった。【田口真一郎】