まさに土壇場からのサヨナラ劇だった。中日は2点を追う9回2死走者なしと追い詰められた。敗戦濃厚の場面から、大島、ビシエドの連打で二、三塁の好機をつくった。ゲレーロの適時打で同点に追いつくと、続く藤井が二塁打で勝負を決めた。ヒーロー藤井は「何かが起きるんじゃないかと打席のゲレーロも、僕も、みんなも思っていたと思う。2死からつながったのは、これからのチームの勢いになる」と、話した。

 森監督も興奮気味だった。「2点以上やらなかった先発投手と、我慢した投手とね。2死走者なしから、こういうこともできるんだな。あきらめずに。誰がヒーローって、ここまで我慢した俺がヒーロー!」。開幕から苦しい戦いが続く中、ようやく森監督らしいコメントが出てきた。

 確かに投手陣が踏ん張った。先発の小笠原が6回2失点。2番手のルーキー柳は本拠地デビューで2回無失点と結果を残した。「初のナゴヤドームで緊張した。自分が投げた試合で勝てたのが大きい」。3番手のこの日再昇格した福谷も1回無失点で、9回裏の攻撃につなげた。

 5位ヤクルトに0・5ゲーム差と、最下位脱出も見える位置につけた。何より巻き返しに必要な、勢いを感じさせる勝利だった。