「故障者はどこのチームもいるものだけど、急にバタバタきた。厄払いでもした方がいいかな…」。指揮官はため息を隠せない。6回表。三塁からのそれた送球をジャンプして捕った一塁今江が、タッチの際にソフトバンク松田と交錯。顔をゆがめて交代した。「左尺骨骨幹部の骨折」だった。蒔田トレーナーは「治療法はセカンドオピニオンを求めてから」と、近日中に再検査を受ける方針を示したが、こちらも長期離脱は免れない。

 ブルペン陣の要を欠き、試合は4失点の岸が8回途中まで投げ続けた。松井裕の離脱に、岸は「アイツも悔しいと思うけど、みんなでやっていかないといけない。先発が試合をつくらないといけなかった」と唇をかんだ。2位ソフトバンクとの直接対決は1勝1敗で、再び1・5ゲーム差に戻った。

 まだ貯金は30もある。とはいえ、オールスター戦後に二塁藤田、外野のペゲーロ、岡島と主力にけが人が続出。6月に戦列を離れた遊撃茂木も万全には至らず、台所事情は厳しさを増している。9月3日まで毎週6連戦が続く過密日程も向かい風になる。4年ぶりのリーグ優勝へ、首位楽天は苦悩と戦っている。【鎌田良美】

 ◆楽天の故障者 4月に今江が右半腱様筋筋膜炎などで2度の登録抹消。嶋も同29日から腰痛で離脱も、5月中に復帰した。6月には茂木が右肘の骨挫傷、7月には藤田が腰痛で、二遊間がともに抹消。同24日にはペゲーロが左太もも裏肉離れ、岡島が左肩関節唇損傷で登録抹消と、外野のレギュラー2人が同時に離脱することに。投手陣では、開幕前に安楽が右大腿(だいたい)二頭筋の部分損傷で離脱し、シーズン初登板が6月と出遅れた。