今季限りで退任する阪神掛布雅之2軍監督(62)が、最後の大仕事にトライする。現在2軍で調整する高山の再生劇だ。12日、ウエスタン・リーグのオリックス戦(舞洲サブ)は雨天中止。甲子園の室内練習場で汗を流す選手たちを見守りながら、明確な目標について語った。レギュラーシーズンが終わっても、クライマックスシリーズがある。続けて日本シリーズに出場すれば、出場有資格者は40人となる。

 掛布2軍監督 当然、高山とか北條、そして江越もその(時期の昇格候補、もしくは出場有資格者候補の)1人になる。彼ら自身が(練習を)やらされるのではなくて、継続してくれたら…。僕らがいない間に練習するのが、自分の野球を作っていけている人たちだと思う。

 ミスタータイガースにとって高山に関して、忘れられない残像がある。

 掛布2軍監督 (昨春のキャンプ中に)安芸でロングティーをしていた姿。目をつぶると、あのときの(高山の)姿が今でも目に浮かぶ。そこまでの状態に近づけたい。

 掛布2軍監督は悩みをぶつけられたこともある。昨年6月は月間打率が2割1分7厘と低迷。思うような数字を残せず相談を受けた。「落とされないといけない成績なのに…。なぜ1軍に残れているのか」。掛布2軍監督は即答した。「お前はドラ1だ。だから特別なんだよ。もっとわがままになっていい」。思わぬ返答だったが、その一言で成績は向上。翌7月は3割6分6厘と打ちまくった。今回も、そんな復活劇を期待している。

 2軍戦は雨天中止になったこともあり、あと11試合。残された時間はわずか。だが、選手を信じ続け、決して諦めない。最後の大仕事をやってのけるまで。【真柴健】