18年版“スーパー筒香くん”の打球は、昨季以上に“スーパー”だった。DeNA筒香嘉智外野手(26)が4日、沖縄・宜野湾キャンプで推定飛距離140メートルの驚異の一打を放った。強風に乗ったとはいえ、スコアボードの最上部に直撃する特大アーチ。ボードを破壊した昨季キャンプ以上の迫力だ。スケールアップした主砲のバットが、第1クールから火を噴いた。

 破壊する必要なんてない。越えてしまえば、筒香のすごみは自然と証明されるのだ。この日のフリー打撃最後の柵越えとなった打球の落下点は、中堅やや右中間寄り、約125メートル先に高さ10メートルでそびえ立つスコアボードの屋根だった。鈍い打撃音で弾んだ打球は、さらに15メートルあるネットを越えて、場外へ落ちた。推定飛距離は140メートル。海岸沿いの強い海風が吹くコンディションに「(飛んだのは)風ですよ」と軽く流したが、昨季からスケールアップした姿を見せつけた。

 昨年の2月3日、同じ場所から同じスコアボードを破壊した。ライナー性だった当時の軌道とは違い、この日は大きな放物線を描いた。マイナーチェンジして手の位置が高くなった構えから、力みのないスイングで飛ばした。飛距離は追い求めていないが「打感はもう何年も野球をやっているので分かっている。順調ですよ」と、手応えは十分つかんでいる。

 左右それぞれの打撃投手から21スイングずつ振り、12本の柵越え。今キャンプ4日目にして初の2桁をマークした。右からは2本だったが、左からは10本とスイングの半数近く。昨季打率、出塁率、長打率すべて右投手を下回った左投手から量産。「コースなりで打っているだけ。外に投げてくれば逆方向になるし、中にきたら引っ張るようにしている」。まだ調整段階で、リラックスしながら振ったスイングでこの飛距離。数字がスケールアップを物語り、日本の4番からさらに隙がなくなろうとしている。徐々にピッチを上げ、実戦モードへ。3月の侍ジャパン強化試合、そしてシーズン開幕に備える。「練習で飛んでも、試合で飛ばないかもしれない。まだ打撃練習なので、試合での力みとかが出てくるかもしれない。そうなってからですね」。まだ第1クールが終わったばかり。天井知らずの破壊力を早くも発揮した。【栗田成芳】

 ◆1年前の破壊弾 宜野湾キャンプ3日目のフリー打撃、ライナー性の軌道で打球をスコアボードに直撃させた。「第二試合」と書かれたプレートが新しく貼り替えられたため、現在はその部分だけ色が濃くなっている。昨年はWBCの直前とあって、侍ジャパンの4番として、早い仕上がりを見せていた。