ソフトバンクを支える人々にスポットを当て、随時掲載する「支えタカとよ」。今回は元ソフトバンク投手で今季から球団広報部の江尻慎太郎氏(40)です。

 青いスーツを鮮やかに着こなす。現役時代もオシャレな野球選手だった江尻氏。引退して4年、今ではイケメンビジネスマンだ。今季、ソフトバンクのグループ会社から出向で球団に復帰し広報部に配属。活躍の場は主に東京だ。

 ミッションはホークスを全国区の人気球団にすること。江尻氏は「福岡では68%の人がホークスに関心を持っている。でも全国的にはマーケティングデータ上、プロ野球ファン率22・8%。そのうちホークスファンは11・2%(2017年)。かけ合わせると全人口中2・5%しかホークスには興味がないというのが現状。首都圏では戦略を変える必要がある」と数字を交えながら説明してくれた。

 昨年の日本一球団。柳田、千賀とメジャー級の選手も多い。「ホークスを野球文化の中心にするためにはどうしたらよいか? キー局の番組ディレクターさんの課題をヒアリングし、どんなお手伝いをすべきかを考えて行動しています。営業マンと同じです」と、一緒になって考える。

 福岡では選手たちと話し、練習の変化を見ることなどで旬のネタを集める。選手の立場に立ちながらも、どうやれば負担をかけずに売り出せるかを考える。

 自らもテレビに出演する。この春から宮城でスポーツ番組(「もえスポ」KHB東日本放送、毎週土曜午後5時から25分間)のメインパーソナリティーを務める。神スイングで知られるタレント稲村亜美とコンビを組む。出演者として現場を肌で感じられていることもプラスになっている。

 「先週は東京から福岡2往復、仙台1往復でしたよ。今は楽しいですよ」と笑う。出演者、企画ディレクター、営業マンと3つの顔を持つ男が、現役時代同様、どんな場面も全力投球でホークスのよさを、多くの人に知ってもらおうと走り回っている。【石橋隆雄】

 

■「巧みな話術で九産大講師も」

 江尻氏は20日に九産大で講師も務めた。ソフトバンクが今年から九産大と協力。公開講座を行った。1時間半のディスカッション形式でプロ野球ビジネスの講義を行った。「企業研修の講師もしてきたので、もう少し深く入っていきたいですね」と巧みな話術で参加者の興味を引きつけ、あっという間に終了した。

 ◆江尻慎太郎(えじり・しんたろう)1977年(昭52)4月30日、宮城県生まれ。仙台二-早大を経て01年ドラフト自由獲得枠で日本ハム入団。10年4月に石井裕也とのトレードで横浜移籍。11年は65試合に投げ球宴にも出場。12年オフに吉村らとともにソフトバンクにトレード。13年は中継ぎとして23試合に登板。14年限りで引退。通算277試合登板、28勝20敗1セーブ53ホールド。187センチ、79キロ。