16年夏の甲子園優勝投手、西武2年目の今井達也投手(20)がプロデビュー戦で初勝利を挙げた。「日本生命セ・パ交流戦」ヤクルト戦に先発し、6回を5安打6三振2四球で1失点に抑えた。3連敗中の初陣にも動じず、最速152キロの直球で押し込む投球を披露。未成年時の喫煙が発覚し、ジャージー姿での練習を科されたドラフト1位が、雌伏の時を経て力強く1勝をもぎ取った。

 ピンチでも今井は自分を見失わなかった。3回に味方の失策から1点を先制され、なお2死一、二塁。「一番自信があるのは真っすぐ。低めに」。ヤクルト川端に対し、カウント2-2から右腕をしならせた。低めへ149キロを差し込み空振り三振。郭泰源、西口、岸。西武に脈々と流れるしなやかな本格派右腕の系譜を継ぐ11番は「直球で抑えられた。次からも自信になります」と笑顔を見せた。

 19歳だった今年2月初め。喫煙が発覚。球団から、5月までの試合出場停止とユニホーム着用禁止を科された。高知・春野の2軍キャンプ中。潮崎2軍監督から「良かったと思えるように。練習で追い込もう」と言われた。1人だけジャージーで練習。屈辱の中、同僚に「やってしまったことは、しょうがない。練習を頑張る」と伝えた。先輩も声をかけてくれた。「プロは結果の世界。変わらず接してくれる人たちのためにも、結果で応えたい」と誓った。

 野球に没頭した。4月初めに育成担当の清川栄治氏と面談し「雄星さん(菊池)の精神力、修正力がすごい」と伝えた。ただ、菊池が目標かというと少し違った。「どんなに頑張っても158キロは出ません。雄星さんも1年目で肩をケガして、そこから。だから僕も」と励みにした。5月、菊池が再調整になると「キャッチボールは軽く投げるのに、下半身主導ですごい球」と追った。課題は制球力。「動きだしで力む」と自分で考え、セットをワインドアップに変えた。最終的にノーワインドアップで臨み2四球。試行錯誤の成果を披露した。

 菊池からは「初登板は俺も緊張した」と送り出されたが「楽しく投げられました」。お立ち台を下りると「強打のチームにいて有利だけど、甘んじず0にこだわっていきたい」と言った。次は交流戦明け最初のカード、ロッテ戦が濃厚。あの日々を肥やしに上を目指していく。【古川真弥】

 ▼西武2年目の今井がプロ入り初登板初勝利。西武の初登板勝利は01年3月27日にリリーフで記録した帆足以来7人目。先発では99年4月7日の松坂以来となった。