西武山川は腹をくくった。10回1死一、二塁で、初顔の中日鈴木博。初球151キロを仕留め損ないファウル。「タイミングが合わない。速い。変化球を待って直球を打つなんて出来ない。無理やり打つしかない」。カウント2-2から内角151キロを詰まりながらも振り抜いた。「気持ちの分だけ」、前進守備の外野を越える左中間二塁打。プロ初のサヨナラ打だ。二塁を回ると仲間にもみくちゃ。「めちゃくちゃうれしい」と笑った。

 前日の反省があった。初対戦のヤクルト・ハフに3タコ。5月30日以来の無安打に「後悔してます。内角に直球が来るという先入観があった」。実際は外中心に攻められた。内角を意識し過ぎて体の開きが早くなり、打ち損じを重ねた。「データはあるけど、それ以上に自分のスタイルで」と誓った。初顔が多い交流戦だけに、より打席での感覚を重視。この日も最初は初顔の笠原にてこずったが、最後に4番の仕事をした。

 ベンチでは、菊池に「もうちょっと我慢して」と声をかけた。「投げてる時に点を取ってあげられず悔しい」。エースに勝ちを贈れず、手放しでは喜ばなかった。【古川真弥】