虎の救世主は左のマートンだ! 阪神新外国人エフレン・ナバーロ内野手(32=カブス傘下3Aアイオワ)が17日、西宮市内の球団事務所で入団会見を行った。推定年俸は30万ドル(約3300万円)で、背番号は99。メジャー通算157試合に出場し、13年と17年のWBCメキシコ代表にも名を連ねた新助っ人は、阪神OBのマット・マートン氏(36)からの助言を胸に来日。希代のヒットメーカーのイズムを受け継ぐ左打者が、Vへの使者となる。

 新助っ人はモヒカンヘアをバッチリ決めて入団会見に登場した。髪形同様に意気込みも力強い。「チームメート、ファン、すべての人のために自分が持っているものを最大限出せるように頑張っていきたい。ベストを尽くしてやっていきたい」。ユニホーム姿を初披露し、悲願Vへの全力貢献を誓った。

 胸には、かつて甲子園で躍動した安打製造機の金言がある。昨年在籍したタイガース3Aトレドでは、元阪神マートン氏とチームメート。シーズン214安打のセ・リーグ記録を持つ先輩から、日本の文化や投手の攻め方を学び、海を渡ってきた。「日本の野球、投手がどうやって攻めてくるかを話した」。打撃像はすでに描かれている。「打席でしっかり我慢して左中間、右中間にライナーを打つ」。左右の違いはあるが、マートン氏の現役時代をほうふつとさせる打撃スタイルを心に決めている。

 阪神入団が決まると「おめでとう」の祝福とともに、日本のレストランを紹介されたという。「彼が日本で成し遂げた記録は素晴らしいもの。少しでもそれに近づけるように、100%、110%自分が持っているものを出して、日本で頑張りたい」。3A通算で打率3割超えのヒットマンには、阪神在籍6年間で1020本もの安打を積み重ねたマートン氏の“再来”を期待せずにはいられない。

 会見前には甲子園球場を見学し、2軍首脳陣、選手とあいさつを交わした。「本当に歴史のある球場だと思う。セシル・フィルダーもここでプレーしたことは知っている。ユニホームを着て足を踏み入れたときはすごい素晴らしい気持ちと、うれしい気持ちでしょうし、そこでプレーできることはすごく光栄だと思う」と目を輝かせた。今日18日には早速、甲子園で練習に励む予定だという。その気合が頼もしい。

 この日、チームは今季6度目の0封負けを喫した。外野も守れるためロサリオとの「共存」も可能で、準備が整えば、早ければ6月末にも1軍合流の可能性もある。マートンイズムを継ぐナバーロが、虎に追い風を呼ぶ。【吉見元太】