ソフトバンクがソロ5本塁打の一発攻勢で日本ハムを下し2勝1敗でCSファーストステージを突破した。

5年連続のファイナルステージ進出を果たしたソフトバンクは、17日からパ・リーグ覇者西武と対戦する。ファイナルステージは6試合制。10年ぶりにリーグ優勝した西武が1勝のアドバンテージを持ち、先に4勝したチームが日本シリーズ進出となる。

試合後、工藤公康監督は、興奮気味だった。「(試合前は)心臓が飛び出るくらい緊張していた。ファンの声援もどんどん大きくなるたびに心臓も大きくなったけど、熱い声援のおかげ。(ソロ5本塁打は)打席の中で集中して(走者を)残さないようにやってくれた。野球の神様も宿ってくれたと思うけど本当にいいホームランだった」と顔を紅潮させた。

12球団NO・1を誇るシーズン202発の強力打線が火を噴いた。

1回1死走者なしから2番明石が右越えに1号ソロを放ち先制。同点で迎えた4回には先頭のデスパイネがバックスクリーン左に2号ソロで勝ち越し。さらに1死から松田宣が左中間に1号ソロを放ち、リードを2点差と広げた。

1点差に詰め寄られたソフトバンクは6回無死。デスパイネが左越えに2打席連続となる3号ソロ。続く6番中村晃も右越えに2者連続となる2号ソロで5-2と突き放した。

もはや理屈ではない。工藤監督は選手の執念が5本のアーチを生んだと信じてやまなかった。「選手たちが絶対勝つんだ、という強い思いがボールに乗り移ったホームラン。(流れを変える本塁打に)絶対負けない、勝ってファイナルに行くんだという思いを打席の中で出した選手の強さを感じた。そんな中で指揮することができて幸せに感じた」。

工藤監督の采配も光った。勝ち投手の権利目前の先発東浜が5回途中で四球を与え無死一、二塁とピンチを招くと、中継ぎ右腕の石川を即投入しこの回無失点。前夜、被安打を許した嘉弥真、加治屋も起用しながら自信を回復させるなど、先を見据えた投手起用でセーブ王森まで計5投手投入。1度も日本ハムにリードを許すことはなかった。

「(先発東浜は)この3試合に臨むにあたり精神的に疲れもあったかなと思う。早めに代える決断もあった。(石川はシーズンの)疲れもあると思うがしっかり投げてくれた。(嘉弥真、加治屋も無失点でともにホールドをマーク)嘉弥真君は厳しい場面で良く投げてくれた。加治屋君も(前夜の)リベンジできて良かった。1年間投げてきて今日投げて良く抑えた。良かった」(工藤監督)。

勝利の方程式の一角を占める加治屋の好投にお立ち台からベンチ内の加治屋に向かって「おめでとう~っ!」と称賛の声を直接届けた。

2年連続日本一を狙うソフトバンクは、下克上へ向け次の関門で西武と対戦する。「(今日の勝利は)声援のおかげ。今日の日本ハムは強かった。試合はドキドキした中で始まったが勝てたのは、選手の力。西武に勝って日本シリーズにいきたい。シーズンと同じように選手を信じて、勝ちにいって1つずつ戦っていきたい。1年間、苦しい戦いをして『心をひとつにもう一丁』をスローガンに立てて、やってきた。その思いでやっていきたい」。昨年まで4年間で3度の日本一。今季は守護神サファテ、セットアッパー岩崎、主砲内川ら主力をけがで欠く中、シーズンは2位に甘んじたが、工藤監督も、日本一の座だけは渡さないつもりだ。