日本ハムに甲子園のスターがズラリ! 「プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」が25日、都内のホテルで行われ、日本ハムが金足農(秋田)吉田輝星投手(3年)を外れ1位で単独指名に成功した。1位の大阪桐蔭・根尾昂内野手(3年)こそ、4球団の競合の末に交渉権を逃したものの、今夏の甲子園100回大会のスターの交渉権を獲得。さらに花咲徳栄(埼玉)野村佑希内野手、横浜(神奈川)万波中正外野手、大阪桐蔭・柿木蓮投手(いずれも3年)も指名するなど、期待膨らむドラフトとなった。

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午後5時49分、記者会見場の金足農体育館に、吉田は緊張した面持ちで入場してきた。会見が始まっても笑うことなく、慎重に言葉を紡いだ。「日本ハムに入ることが決まってうれしいです。(球団のイメージは)ドラフト1位で入った高校生の先輩が活躍している。自分も一緒に活躍したい」。続けて「あまり実感がない。緊張している感じ」と言ったタイミングで初めて笑みがこぼれた。会議中は校舎内の食堂で父正樹さん(43)と待機。決まった瞬間は野球部員から「おめでとう!」と拍手喝采が巻き起こったという。

会見で座っていたのは、純朴な高校生そのものだった。目指す球速を問われ「目標は高く持って、155キロぐらい出したい」と最速152キロの男が控えめに宣言。目標についても「しっかり納得できる直球を投げられるようになって新人王を取りたい」。会見ではおとなしい発言に終始していたが、実際はチームメートの前では様子が違った。菅原天空内野手(3年)によると最近は「ドラフト1位で行きたい」と漏らしていたことを明かし、部内では「沢村賞をとる!」と話していたという。

吉田の最大の武器は浮き上がる直球だ。今夏の秋田大会から甲子園準決勝まで10試合連続で完投勝ち。決勝で大阪桐蔭に敗れはしたが、吉田がこの夏1人で投げた1517球は記憶にも記録にも残る力投だった。「まだストレートが完成していない。常時150キロ超えて、球の質も意識したい」。直球1本で魅了できる投手を目指す。

声援を爆発的な力に変えることができるのが吉田だ。「自分だけの力だけで甲子園は勝てなかった。今まで応援してくれた人に恩返しがしたい」。甲子園同様、札幌ドームのファンも温かい。秋田の剛腕が、北の大地に羽ばたく。【高橋洋平】

◆沢村賞 不世出の大投手といわれる故沢村栄治氏(巨人)の功績をたたえ、1947年(昭22)に制定。沢村賞受賞者または同等の成績を挙げた投手で、現役を退いた5人を中心とする選考委員会で決定する。当初はセ・リーグ投手を対象にしたが、89年から両リーグに対象が広げられた。受賞者には金杯と副賞300万円が贈られる。