金足農(秋田)の吉田輝星投手(17)を1位指名した日本ハムの栗山英樹監督(57)が26日、ドラフト会議から一夜明け、秋田市内の同校を指名あいさつで訪れた。初対面を果たした指揮官は一目ぼれし、興奮を隠しきれない様子。原石に無限の可能性を感じ取っていた。ダルビッシュ有(現カブス)、中田翔、大谷翔平(現エンゼルス)、清宮幸太郎と続く「高卒スーパースター」の系譜を継ぐ男が、北の大地で偉大な先輩たちに続く。

会見場の扉を開けた瞬間から、栗山監督の顔は緩みっぱなしだった。金足農の校長室で吉田と初対面。ガッチリ両手で握手し、一気に一目ぼれした。喜びが口からあふれ出た。

「あれだけさわやかで、あれだけ野球がうまくて。本当に吉田輝星って名前のまんま。格好ええなぁ。それでいいよね。そういう選手が光り輝くために、裏では死ぬほど努力するのはすてき。そういう選手になってくれると信じている」

初対面から「輝星」と名前で呼び、吉田の心をわしづかみにした。リーグ優勝2度、日本一1度の名将は短時間での対面で、吉田の第一印象を端的に分析した。

「翔平とも清宮とも違う。真面目すぎても駄目。楽しさと、やんちゃ性をバランスよく持っている印象がある。だからみんなが引きつけられちゃう」

吉田には「華」がある。今夏の秋田大会決勝では、ロッテ4位の明桜・山口航輝外野手(3年)と最後の対戦で笑みを浮かべ、名勝負を完結させた。甲子園では投球前に繰り出すルーティン「侍ポーズ」で沸かせた。吉田の一挙手一投足からは常に「何かをやってくれるかも」という期待がにじみ出ている。

「やんちゃ性って何かを楽しんでしまえる(ということ)。いい意味での遊び心を持っている。練習は苦しいけど、何か、しでかしちゃう? みたいな感覚があれば頑張れる。(中田)翔も(大谷)翔平も前に進む力を持っている。選手にとっては大事だと思う」

「侍ポーズ」の容認こそしなかったものの、栗山監督独特の言葉で吉田のキャラクターは肯定した。偉大な先輩たちも栗山ワールドで醸成されて、1歩ずつ階段を上っていった。表現力豊かな吉田にとって、日本ハムは最高の“農場”だ。【高橋洋平】