フリーエージェント(FA)宣言選手が14日、公示された。有資格者91選手のうち、国内FA権を行使したのは広島丸佳浩外野手(29)西武浅村栄斗内野手(28)オリックス西勇輝投手(28)の3人。海外FA権を行使したのは西武炭谷銀仁朗捕手(31)西武中村剛也内野手(35)の2選手。中村は西武残留を発表している。交渉は15日に解禁となるが、巨人原辰徳監督(60)は丸、炭谷の両選手に熱いラブコールを送った。丸には5年総額30億円以上、炭谷には3年総額約6億円とみられる条件を用意。直接出馬にも意欲を見せ、V奪回のキーマンを口説き落とす。(金額は推定)

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原監督の言葉のトーンが上がった。それは愛の表れだった。この日、FA宣言選手が公示された。7日の丸のFA権行使を受けて「球団がきちんと動くと思います」と話していたが、さらに踏み込んだ。

原監督 僕が(以前に)監督をやっているとき、若いときから彼のスタイル、プレーを見ていた。ジャイアンツにとって非常に魅力のある選手ということは言える。きちんと自分の意思は球団に伝えてある。時が来たらアクションは必ず起こすと思います。

丸は、原監督がほれる完璧な存在だ。今季は自己最多39本塁打を放ち、抜群の選球眼で出塁率4割6分8厘。打撃2部門で現チームで肩を並べる選手はいない。6年連続ゴールデングラブ賞、7年連続2ケタ盗塁と走攻守すべてがそろう。

パーフェクトなプレーヤーに史上最大級の条件を提示することになりそうだ。かつて小笠原に4年総額16億円、杉内に4年総額20億円の大型契約で迎え入れ、チームに黄金時代を到来させた。丸は広島も異例のFA宣言残留を認め、地元のロッテも4年総額約20億円と争奪戦になることは必至。5年ぶりのリーグ優勝を期す巨人も過去の契約規模から大きく上積みし、5年総額30億円以上の条件を用意するとみられる。愛着ある広島からFA宣言した丸に、最高の評価で応える準備がある。

指揮官は炭谷への思いも熱かった。「いい捕手が巨人にもいるけど、エース(捕手)の経験という部分での刺激を入れるポジション。そういう意味で銀仁朗もわが軍の(補強の)考え方に合致した選手。彼も当然、球団に意思は伝えてある」。名字でなく、名前で呼び、親近感がにじみ出た。扇の要を託すイメージはできあがっている。

今日15日から交渉が解禁となり、正式に話し合いの場を重ねていく。原監督は直接出馬もいとわない姿勢だ。「時間的なものもあるのでなんとも分からないが、当然状況という中で私もジャイアンツの一員としてね、意思を伝えに行くということはあり得ると思います」。新たな枢軸となりえる2人に思いを伝えていく。

◆巨人の大型契約 06年11月に李承■と4年総額30億円で契約しているが、FA宣言選手との契約では11年オフに杉内が4年総額20億円が最高額。丸が5年総額30億円以上で契約すると大幅に上回ることになる。ちなみに、00年12月にはFA権取得前の松井に対して8年総額60億円大型契約を提示したがサインはされなかった。

※■は火ヘンに華