西よ、ローテの柱になってくれ!! 阪神がオリックスから国内フリーエージェント(FA)宣言した西勇輝投手(28)の獲得を目指し、交渉解禁の今日15日以降に速攻アタックを仕掛ける。14日は日本野球機構(NPB)からFA宣言選手として公示され、谷本球団副社長兼球団本部長が兵庫・西宮市内の球団事務所で対応。アピールポイントとして「ローテーションの柱として考えている」と明かした。矢野燿大監督(49)も出馬に備え、真っ向勝負で挑む考えを示した。
日が暮れた球団事務所で谷本球団副社長兼球団本部長が武者震いした。「いよいよ時が来たなという気がしております。明日以降、できるだけ早くコンタクトを取って、できるだけ早く本人と会って話をしたい」。この日、NPBからFA宣言選手として公示され、今日15日から交渉解禁だ。
この日は連絡を取らず、早ければ15日にもアタックし、交渉の席を設ける可能性も出てきた。西の心境を尊重するスタンスを貫き、事前に交渉日を告知しない方針だ。谷本副社長は「当面、非公開です。相手がどう思うかも考えながらやりたい。本人の希望も聞きながら、やっていきたい」と話した。人生の決断を下す西への思いやりもにじむ。
テーブルで膝を突き合わして話し合うのか。食事に舌鼓を打ちながら本音トークするのか。「それも本人の希望次第です。向こうも緊張するでしょうし。相談しながらやっていきたい」と谷本副社長。もっとも本音で語り合えるスタイルを模索する。今季、01年以来17年ぶりの最下位に沈んだ阪神にとって是が非でも獲得したい実力派右腕だ。谷本副社長は語気を強める。
「当球団もアピールポイントはないわけではない。そこを、しっかりアピールしていきたい。ローテーション投手が今年は苦しんだところはあります。ローテーションの柱として考えているというのは十分にアピールしていきたい」
西は過去5度の2桁勝利など通算74勝を誇る。チーム再建の柱として補強の目玉に位置づける。「エース級の期待」こそ口説き文句の1つになりそうだ。オリックスがすでに慰留を重ねており、ソフトバンクも参戦を表明。中日も興味を示す。一筋縄でいかないFA戦線になるのは承知の上で、4年の大型契約を用意。さらに秋季キャンプを行う高知・安芸にいる矢野監督も準備は万全だ。
「もちろん(交渉に)行くよ。前に進むという感じがあれば、喜んで行かせてもらう。真っ向勝負というか、俺はこういうチームを作りたいとか、西はこうやとか伝えるのが俺らしい」
交渉役に指名されれば、駆け引きなしで本心を吐露する構えだ。谷本副社長も言う。「競合球団も多いと思います。タイガースとしては真摯(しんし)な姿勢で交渉に臨んでいきたい」。争奪戦が開戦する。【酒井俊作】
◆西勇輝(にし・ゆうき)1990年(平2)11月10日生まれ、三重県出身。菰野から08年ドラフト3位でオリックス入団。3年目の11年に頭角を現し10勝をマーク。12年10月8日、シーズン最終戦のソフトバンク戦でノーヒットノーラン達成。17年8月に打球直撃で左手骨折も、今季は10勝と復活を果たした。今季年俸は1億2000万円で、今季オリックス日本人選手ではBランクに該当する4位(金額、年俸順位は推定)。181センチ、80キロ。右投げ右打ち。