全身でかっ飛ばした。9回1死、代打で登場したヤクルト中山翔太外野手の心は仕上がっていた。「初球からストライクが来たら振っていこう」と西武松本直の116キロど真ん中のカーブを見逃さなかった。

思い切りしばき上げ、左翼スタンドへと放り込んだ。プロ11打席目での初本塁打に「早い段階で打てたので気持ち的にも落ち着きが出るかもしれません」と笑みがはじけた。

愛称通りのパワーを見せつけた。185センチ、95キロ。Tシャツの上からでも隆起が分かる大胸筋、筋骨隆々の体で「中山きんに君」と呼ばれる。「最近あまり追い込めていないんで…」と謙遜するが、スクワットでは現役時の小錦の体重(275キロ)より重い280キロを持ち上げる。ドラフト2位で入団後はファームで振り込み「スイングスピードが上がったと思う」と筋肉を打撃力に結びつけた。

丸刈り頭のスラッガーは「初球から強いスイング、自分ができることをしたい」と言葉にも力を込めた。