「キセキの世代」と呼ばれる日を夢見て-。巨人田口麗斗投手(24)が、サムスンとの練習試合(那覇)に1点リードの4回から2番手で登板した。3四死球を与えるも、3イニングを無安打無失点。前夜に人気アニメ「黒子のバスケ」を鑑賞。大好きなキャラクターの技を駆使し、先発ローテ入りをアピールした。

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マウンドに上がった田口の脳裏には、前夜に視聴した「黒子のバスケ」が流れていた。相手の意識を他へ向ける黒子の「ミスディレクション」。プレッシャーのない場面で確率100%の緑間の「超長距離3Pシュート」。エース青峰の「緩急」。黄瀬の「模倣」。回転しながらダンクシュートをする紫原の「トールハンマー」。赤司の正確な読み「エンペラーアイ」。「ミスディレクション使おうと思ったんですけど」。「キセキの世代」と呼ばれる男たちの技をコートではなく、沖縄セルラースタジアム那覇で体現した。

広島新庄時代から愛読する漫画は全30巻を読破した。今もアニメ版を「NETFLIX」で何度も見るほどの通は、1点リードの4回2死から4番を内角直球で見逃し三振。それまでの外角への攻めでミスディレクションさせた効果だ。宝刀スライダーは超長距離3Pシュートのごとく、自由自在にコースへ出し入れ。3イニングで3四死球も、無安打無失点。「バッターが打ちにくい間や、リズム、フォームを作りたい」と前回登板の紅白戦から5イニング連続で「0」だ。

日頃から「キセキの世代」の技を実践する。楽天松井の投球リズム、広島大瀬良の尻の使い方を「模倣」。「トールハンマーは投球スピン。打者を観察するエンペラーアイ。投球フォームの変化で青峰を目指してます。超長距離3Pシュートはいつでも、先発でも中継ぎでも入るって意味。最後はこれ。巨人投手陣の中の黒子として、頑張るって意味です」と6色を取り込む。「キセキの世代は(坂本)勇人さんたちの88年ですけど(笑い)。僕もいつか、そう呼ばれるようになりたい」。幻の6人目ではない。先発ローテの中心として成長の“軌跡”を刻む。【栗田尚樹】

◆黒子のバスケ 週刊少年ジャンプで09年から14年まで連載された藤巻忠俊原作のバスケットボール漫画。全中3連覇を誇る強豪校には、10年に一人の天才が5人(黄瀬涼太、緑間真太郎、青峰大輝、紫原敦、赤司征十郎)そろう「キセキの世代」が存在した。その中には誰も存在を知らない「幻の6人目(黒子テツヤ)」がいた-。物語の舞台は高校。黒子テツヤが、自身の存在感の薄さを逆手に取り、コートの中を自由に動き回れる能力を武器に、別々の高校に進んだ「キセキの世代」の5人としのぎを削る。単行本の累計発行部数は全30巻で3100万部を突破。アニメ化&映画もされている。

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▽巨人原監督(田口について)「チームのバランスの中で先発候補でもあり、セットアッパーという形でも考えています」

▽巨人宮本投手チーフコーチ(桜井、田口について)「(ローテへ)3歩前進。次の登板で先発をつかむところまで来ている」

▽巨人桜井(先発で3回を2安打無失点)「テーマ通り、攻めの投球ができた。真っすぐに強い韓国打線を力で押せたのはよかった」