#野球場観戦を待ちわびるファンへ―。 6月19日に開幕したプロ野球。チームだけでなく、プロ野球支えるさまざまな人たちが、それぞれの思いで異例のシーズンを迎えている。「球場周辺の今」としてルポする。

部屋に1歩入れば、そこは“超外野スタンド”だ。神宮球場からスタジアム通りを挟んだ所に立つ日本青年館ホテル。プロ野球開幕が延期になった期間、以前宿泊したヤクルトファンから電話があった。同ホテルのセールスアドバイザー真田秀実さんは「長い間、球場から音が聞こえなくて寂しかった。リピーターのファンの方々は、本当にありがたいです」と感謝する。

部屋の大きな窓の下に、外気を取り入れるための開閉式の換気口がある。開ければ、球場アナウンス、キャッチャーミットが響く音も聞こえる。ファンからの要望が多く、球場が見える側の96部屋を確約する宿泊プランを新設。デーゲーム用にデイユースプランもある。レストラン「EAST WIND GAIEN」は、球場が見える窓際のテーブル5席でコース料理を味わえるプランを作った。

本来なら、東京五輪に向け盛り上がっていたはず。大会関係者の宿泊先として満室だったが白紙に。修学旅行などの団体予約もゼロ。宿泊客の約4割を占める訪日外国人もいなくなった。真田さんは「無観客ではありますが、これが1つのスタートだと思っています」と歓声が戻る日を心待ちにしている。【保坂恭子】