アマチュア野球では珍しいあわや退場宣告となるドタバタ劇があった。渦中にいたのは、大和高田クラブ監督で、96年から99年まで近鉄で監督を務めた佐々木恭介氏(70)。4回、先頭の西脇雅弥内野手(22=龍谷大)の放った打球が、左翼フェンス上部のラバー部分を直撃。三塁塁審が一時は本塁打と判定したが、相手野手からのアピールもあり、審判団が協議の結果、判定は二塁打に訂正された。

大和高田クラブ側に伝えたところ、佐々木監督と審判団の間で押し問答に発展。ここで、審判の1人との距離が近かったため、佐々木監督が「近いです」と肩に振れたところ、感情的になっていたこともあって審判が「退場」と発言した。だが、アマチュア野球には退場はそぐわないという観点から、橘公政大会審判長が「退場」を取り消し。10分間の中断を挟んで、試合は続行された。

プロ野球では審判の体に触れた場合に退場処分となることがあるが、橘審判長は「アマチュア野球なので退場は避けようと。できるだけ試合はやらせたい。両方とも感情的になって触れたけど、退場はアマチュア野球にはそぐわない」と説明した。

大和高田クラブは2本塁打を含む9安打を放ったが、守備の細かいミスも絡んで敗退した。佐々木監督は「守備のミスで負けました」と肩を落とし、一連の場面については「『退場』という言葉が出ると思っていなかった。(退場は)選手で2回、監督で2回」と振り返った。【望月千草】