慶大(東京6大学)が上武大(関甲新学生)に打ち勝ち、10年ぶりの決勝進出を決めた。ここまで無安打だった4番で今秋ドラフト候補の正木智也内野手(4年=慶応)が先制2ラン&決勝打の活躍。13日の決勝に、87年以来34年ぶり4度目の優勝をかける。

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これぞ、4番だ。追い付かれた直後の8回2死二、三塁。正木は上武大・加藤の外寄り直球を左前に運んだ。「汚いヒットでも四球でもいい。(5番)福井につなごうと」。10年ぶりの決勝切符は、ライナー性のクリーンヒットがもたらした。3回には1死一塁で先制2ラン。インハイ133キロに肘をたたみ、左越えに放り込んだ。大会初安打だった。初回の第1打席で死球を受けたが「踏み込めなくなるのはダメ」と、内角攻めに動じなかった。

休養日の前日、打撃を見直した。2試合無安打が続いていた。「打ちたい気持ちがはやって、顔が突っ込んでました」。微調整を施し、激しい点の取り合いで結果を出した。19年秋、神宮大会Vは経験したが、選手権決勝は初めてだ。「2年前は先輩に引っ張ってもらった。今回は最上級生、4番、副将として引っ張っていく。責任感を持ってやっています」と強調した。頂点まで、あと1つだ。

▽広島苑田スカウト統括部長(正木に)「内角もうまく打つし、外の変化球も、ただ当てるだけじゃなく、しっかりスイングできている。凡退しても、しゅんとしない。そういう選手は、うまくなりますよ」