元中日、阪神、楽天の監督で18年に亡くなった星野仙一氏のゆかりの品を展示する岡山・倉敷市内の「星野仙一記念館」が11月30日で閉館することが15日、分かった。延原敏朗館長(80)は「体調の不安が第一の原因です。やめる悔しさはありますが悔いはありません」と説明。運営者の高齢化に加え、新型コロナウイルス感染拡大で休館が重なった影響もあるという。

08年3月、延原館長の発案で開館した。星野氏の故郷、倉敷市の観光名所として人気を誇り、来館人数はのべ50万人だった。現役時代、中日の投手として活躍し、3球団で監督として優勝に導いた。08年北京五輪で指揮を執り、指揮官として着用したユニホームを展示するほか、母敏子さんに買ってもらった幼い頃のグラブや明大で用いたグラブなども飾り、野球人としての足跡を紹介した。

延原館長は「アイツとは兄弟づきあい。ケンカもしました。すべて相談も受けていました。アイツが亡くなる半年前『もう閉めてくれ』と言われていました」と明かす。星野氏の家族にも了承を得て、閉館を決めたという。館内では約400点を展示し、約1000点の収蔵品がある。「このなかのモノは1つたりとも欠かせない」。展示品はすべて一括して倉敷市に寄贈し、今後の活用を委ねる。

同館スタッフも「全国のファンの方に来ていただいた」と感謝。この日も激励の電話がかかってきたという。プロ野球の一時代を築いた闘将の「原点」だった同館が、惜しまれながら幕を閉じる。【酒井俊作】