節税対策として米国の不動産事業に出資した元プロ野球選手ら十数人の投資家に対し、東京国税局が2008年までの3年間に約5億円の申告漏れを指摘していたことが5日、分かった。投資で発生した赤字を利用して所得を圧縮する節税スキームだったが、国税局が赤字計上を認めなかったもようだ。

 関係者によると、関東在住の会社役員や元プロ野球選手ら投資家は、東京都内の投資コンサルタント会社の勧誘に応じて、米国内の賃貸集合住宅を購入、運営する事業に出資した。

 当初の数年間は建物の減価償却費が賃料収入を上回るため、この赤字分をほかの所得から差し引いて申告していたが、東京国税局は赤字計上の条件は満たしていないとして申告を否認したもようだ。

 節税を目的とした事業をめぐっては、国税当局はこれまでにも大手証券グループによる航空機リース事業や大手商社グループが行った船舶リース事業に出資した投資家に申告漏れを指摘している。(共同)

 [2010年12月5日11時34分]ソーシャルブックマーク