プロ野球巨人の契約金超過問題の報道をめぐり、前球団代表の清武英利氏が出版社「ワック」(東京)に持ち出したとされる球団資料の移動を禁じた東京地裁の仮処分決定に対し、ワック側は2日、「無差別に社内を捜索され、取材の自由を侵害し不当だ」として同地裁に異議を申し立てた。

 ワック側によると、清武氏は代表を解任された後、職場の大量の私物をワックに送付。巨人側はこの中に内部資料があったと主張している。

 地裁の執行官らによる保全手続きは5月26日に行われ、清武氏が本の執筆で使った机だけでなく、各部署のロッカーや机の隅々まで調べられたという。巨人側の代理人も立ち会った。

 東京・霞が関の司法記者クラブで会見したワックの鈴木隆一社長は「国家が安易に仮処分を決めたことは重大だ。報道機関が持つ取材源やデータが、権力で簡単に調べられてしまう」と訴えた。(共同)