<コナミ日本シリーズ2013:楽天3-0巨人>◇第7戦◇3日◇Kスタ宮城

 プロ野球の伝説になるであろうシーズンが完結した。レギュラーシーズンで24勝1セーブと驚異的な成績を残した楽天の田中将大投手(25)がクライマックスシリーズ(CS)、日本シリーズでも力投を続け、チームは創設9年目で初の日本一に輝いた。「日本一になったぞ!」と大声を張り上げた。

 第6戦で今季初黒星を喫したものの、160球を投げて完投した翌日の第7戦で3-0の9回に救援登板した。巨人の攻撃を封じ、日本一をつかみ取った。無敗のまま1年を終えることはできなかったが、紛れもなく田中が引っ張って勝ち取った栄冠だ。今季は田中のシーズンだった。

 往年の大投手、稲尾和久の20連勝など数々の連勝記録を塗り替え、史上初の「無敗の最多勝」の偉業を達成した。それでも個人記録には関心を示さず、リーグ優勝の際にも「まだ勝負は続く」と頂点への執念を燃やし続けた。

 北海道・駒大苫小牧高2年の夏に甲子園大会で優勝したが、背番号はエースナンバー「1」ではなく「11」だった。1番を背負った翌年は決勝で東京・早実高の斎藤佑樹投手(日本ハム)に引き分け再試合の末に敗れ、引き立て役に。楽天では岩隈久志投手が昨年、米大リーグのマリナーズに移籍するまで2番手の扱いだった。名実ともに主役として頂点に立つのは初めてだ。

 入団時から田中を知る球団関係者は、まだ1軍で最年少だったころ、覇気が感じられないチームの練習で先頭に立って声を出す姿を覚えている。「意識の低いベテランは気付いていなかったが、若い選手は引っ張られていた。岩隈がいたころから“いずれ自分が引っ張らないと”と思っていたはず」と指摘する。今ではリーダーの立場は確かなものになった。

 楽天の春季キャンプで恒例となっている各選手の決意表明で、田中は「ことしの野球界の主役は俺たち楽天だ」と叫んだ。その言葉通り、チームは昨季の覇者巨人を破って頂点に立った。

 昨年、将来的な大リーグ挑戦の希望を表明しており、この登板が日本で最後となる可能性もある。来季は新天地に活躍の場を求めるのか。「田中伝説」の第2章からも目が離せない。