<あの球児は今:プロ野球キャンプ編>

 DeNA砂田毅樹投手(19)が、支配下登録入りをはっきりと視界にとらえた。秋田・明桜高から13年ドラフト育成1位で入団した左腕は、プロ入り後に急成長。直球の最速は147キロまで伸び、2年目の今キャンプでは11日の紅白戦で1軍相手に2回無失点と好投した。甲子園どころか東北大会にも出場経験のないダイヤの原石は、中畑監督ら首脳陣の期待を受けて輝きを見せ始めている。

 DeNA砂田が、沖縄・嘉手納キャンプで1球ごとに進化していた。ブルペンでは本来の上手からだけではなく、サイドやアンダースローでも投球。最後に再び上から投げ込むと、キレのある直球が捕手のミットに突き刺さった。先輩投手から「フォーム変えるのか?」と声をかけられたが、リリースポイントの確認のために高校時代から続けている独自の調整法だった。

 砂田

 力むとボールを離す位置が後ろになる癖があるんです。横や下から投げるときは前で離さないと投げられないので、感覚を取り戻すためにやっている。自分で練習を考えるのが好きだし、投げれば投げるほど良くなっていると実感できています。

 首脳陣の期待は高まるばかりだ。11日の紅白戦に2軍から呼ばれると、1軍相手に2回無失点と好投。翌12日には視察に訪れた中畑監督から直接声をかけられた。昨季は2軍で2勝をマークし、秋のフェニックス・リーグでは、クライマックス・シリーズへ向けて調整していた阪神の主力打線を5回2失点に抑えた。登板のチャンスで確実に結果を出し、確実に支配下登録への道を切り開いている。

 砂田

 去年の奄美キャンプから、いつも監督が投球練習を見てくれて「早く使いたいんだから頑張れ」と言ってもらっている。育成はどんな時も結果を求められるので、1球1球を大切にアピールしていきたい。

 高校卒業からわずか1年で、すべてが変わった。明桜では1年春の県大会1回戦で初先発するなど、秋田NO・1左腕として期待された。直球の最速は143キロも、平均では130キロ後半程度。県大会で奪った三振はスライダー中心で制球にも課題があり、甲子園には届かなかった。無名の左腕はプロの練習で最速147キロまで伸び、心境にも大きな変化が生まれた。

 砂田

 真っすぐを中心に変化球を生かすスタイルに変わった。想像もしてなかったんですけどね(笑い)。練習が終わってから、夜にずっとシャドーピッチングをやってフォームが安定したし、指への力の入れ方がわかって良いボールの割合が増えた。支配下に上がる自信はあります。5月の交流戦で地元の札幌で投げるのが目標です。

 砂田の帽子のつばには「歩」という文字が書かれていた。あせらず、立ち止まらず、着実に階段を上ってきた若き左腕が、1軍のマウンドに立つ日は遠くないはずだ。【鹿野雄太】

 ◆砂田毅樹(すなだ・よしき)1995年(平7)7月20日、札幌市生まれ。小2から山鼻アカシアで本格的に野球を始め、6年時に日本ハムジュニア入り。伏見中では札幌南シニアに所属。明桜では1年春からベンチ入りした。13年ドラフトでDeNAから育成1位指名。179センチ、75キロ。左投げ左打ち。家族は両親、姉2人、妹。