<オープン戦:広島5-1巨人>◇4日◇広島

 カープの新打線がいきなり威力を発揮した。巨人とのオープン戦(広島)で、ブラウン監督がほのめかしていた通りに1番赤松、2番天谷、3番に梵が名を連ねた。存在感を示したのは梵だ。5回に同点の中前打を放つなど2安打を放った。その前に出塁していた赤松、天谷を含め3人ともホームを踏んで逆転劇を導いた。監督は新打線について言葉を選んだが、巨人相手の逆転勝ちで手ごたえは感じ取ったはずだ。

 俊足ランナーたちが次々とホームに駆け込む姿は爽快(そうかい)だった。しかも相手はあの金刃だ。昨年、プロ初勝利など5試合で4勝も献上してしまった憎き左腕。その金刃を攻略した。5回の攻撃だった。

 無死一塁から犠打失敗で生きた赤松を一塁に置いて、天谷が左前打。1死一、二塁として登場したのが「新3番」の梵だ。梵は金刃の甘い球を逃さず、中前にライナーを打ち返した。赤松がゆうゆうと二塁から生還する。さらに途中出場の喜田の二塁打、5番アレックスの犠飛でしめて4得点。逆転に成功した。

 梵は謙遜(けんそん)しつつも手ごたえを口にした。「いい仕事ができたと思います。今日はしっかりボールを見て打てる球を打とうと思っていた。その結果たまたまヒットになっただけですよ」。3番は昨年も3試合経験があるだけに「打順のことでみんな騒いでいますけど、個人的にやることは一緒だと思っている。変に(3番の)色や形を出そうとせず、ベストを尽くすだけ」と落ち着いていた。

 内田統括打撃コーチはこの日の梵の打席を高く評価した。「あのタイムリーはおっつけ気味にセンターにはじき返したのがいいよ。その前の打席で(初球に)少し強引に内角球を打っていた(三ゴロ)が、それを修正してみせた。自信にしてほしいね」。

 昨年の今ごろ、ブラウン監督は「1番・梵」の構想を固めていた。だが梵は出塁を意識するあまり、打率も出塁率も低下。6番に下がった最後の16試合では4本塁打と長打力を発揮した。3日の練習日に監督は「梵は3番も打てるし、下位でもいい仕事をする」と発言。示唆した通りの打順で結果が残った。指揮官は「まだ時間がある。この先を楽しみにしていてください」と合格印こそ押さなかったものの、新打線への手ごたえは感じたはず。

 小早川打撃コーチは「足を使える選手が多くて相手に与える重圧も多くなる」とニンマリ。1軍実績の少ない1、2番コンビが順調にオープン戦を過ごせば、カープにも「スーパーカートリオ」が誕生する可能性が高い。【柏原誠】