<オープン戦:横浜0-2オリックス>◇13日◇横浜

 オリックスの開幕は金子千尋投手(24)に決定した。横浜とのオープン戦(横浜)に先発し、6回3安打無失点。春季キャンプ中の紅白戦を含め、実戦登板では計21イニングで1失点と驚異的な数字を残した。コリンズ監督は試合後、初めて「開幕金子」を明言。20日の開幕戦(対西武、西武ドーム)で涌井と投げ合う。

 金子は奪った三振が不満だった。2回裏、4番村田をカーブで空振り三振に仕留めると続く佐伯をフォークで連続の空振り三振。多彩な変化球と140キロ中盤のキレある直球で5回までに5奪三振。だが6回無失点よりも88球を投げたことが不満だった。

 金子「三振を取ってしまったんで球数が多い。6回なら70球ぐらいで抑えておきたいです。0点に抑えられたのは良かったし、空振りを取れたのは自信にはなったけど、球数が多いと守る時間が長くなる。打者のリズムも悪くなるんで」。

 奪三振より打たせて取る投球が目標だ。高い理想は、高いステージへ自らを押し上げた。コリンズ監督は「そうです。昨季終盤にチャンスをつかんで、そのまま好調が続いている。3週間前に(開幕は)決めました」と明言。「開幕・金子」を初めて認めた。2月23日の阪神とのオープン戦後(安芸)は否定していたが指揮官の考えを変えさせる結果と内容があった。

 オープン戦は計13イニング無失点で、キャンプ中の紅白戦などを含めると実戦で計21イニング1失点の驚異的な数字を残す。昨季終盤に先発転向し、6連勝でシーズンを終えたことが、実力であることを証明している。さらに野手のリズムまで考えるマウンドさばき。プロ4年目で初の開幕投手となるが、エースの資格は十分だ。

 金子「開幕投手は12人しかいないし、すごく名誉なことですが、開幕だからといって他の試合と変わらないと思う。(監督が報道陣に開幕を明言したが)監督に直接、言われるまで信じないようにします」。

 本人は開幕投手抜てきを知らないと主張する“異例の事態”だが監督の信頼は厚い。相手は昨季、リーグ最多勝の涌井。いきなりのハードな勝負だ。だが金子の打たせて取る理想が現実となれば、チームはペナントの台風の目となる。【今井貴久】