左手第3中手骨骨折で2軍調整中の中日森野将彦内野手(29)が、実戦復帰して即結果を出した。19日、ナゴヤ球場で行われた教育リーグ、プロ・アマ交流戦のJR東海戦に3番・DHとして先発出場。2打数1安打2打点で復活をアピールした。今月28日の広島との開幕戦(ナゴヤドーム)へ向けて、攻守に欠かせないユーティリティープレーヤーが戻ってくる可能性が高まった。

 森野は喜びを隠せなかった。3回1死満塁で迎えた第2打席。カウント2-1からの4球目。外角低めの131キロの直球をうまくバットに乗せた。打球は勢いを増し、右中間を切り裂く2点適時二塁打。代走が送られ、ベンチに戻る時には自然と笑顔になった。「久しぶりっすね。あそこで打てたっていうことが良かった」。試合後はホッとした表情を見せた。

 雨が降りしきるナゴヤ球場で必死に打球に食らいついた。初回、1死三塁の場面でも初球から積極的に打ちにいった。昨年12月3日の北京五輪アジア予選韓国戦以来となる実戦の初打席は右飛となったが「違和感はなかった。出たからには初球から行こうと思った」とニンマリ。落ち着いて、リラックスした状態で2打席目にはしっかりと結果を残した。

 一時は開幕も絶望的な状況だったが、順調な回復をみせて13日には打撃投手を相手にフリー打撃を再開。故障個所についても「100%大丈夫」と言えるまでに回復した。前日18日には下半身の張りで2軍調整中の右腕・山井を相手にフリー打撃を敢行。「(感覚が)ズレているとまずいなと思ったが、かけ離れていなかった」と“感覚”にも手応えをつかんでいた。

 この活躍の報告を受けた高代野手総合チーフコーチは「ここまで我慢したから慎重に行きたい」と慎重な姿勢は崩さなかったが、本人は次のステージを見据えている。「試合に出た以上は次、次とやっていきたい。ゆっくりとしていられない」。今日20日の教育リーグ・ソフトバンク戦も出場する可能性が高い。故障個所に問題がなければ、21日から行われる最後のオープン戦3連戦(ナゴヤドーム)で1軍に呼ばれる可能性が出てきた。

 

 【桝井聡】