<オープン戦:中日11-2ヤクルト>◇22日◇ナゴヤドーム

 中日の新戦力・和田一浩外野手(35)に待望の1発が飛び出した。22日、ヤクルトとのオープン戦に5番左翼でスタメン出場すると8回の第5打席で左翼スタンドに“移籍1号”となるソロをたたき込んだ。この日は5打数2安打1打点。まだ自身の打撃に納得していないという和田だが、それでも3割4分4厘の高打率に加え、この日の1発。28日の広島との開幕戦へ向けて、急ピッチで本番モードへ入っていく。

 本拠地に集まったファンが待ち望んでいた和田の1発だった。8回、ヤクルト木田の甘く入ってきた変化球を見逃さなかった。高々と舞い上がった打球は左翼スタンド中段まで飛んだ。「どさくさまぎれの1発ですよ」。オープン戦34打席目で飛び出した“移籍1号”に和田は苦笑いだ。

 西武で2度の首位打者に輝いただけにアベレージヒッターのイメージが強いが、02年から04年は3年連続30本塁打を放った長打力はだれもが認める。ここ2年連続で20本塁打未満だったが、主砲ウッズの後を打つ和田が見せた1発はセ・リーグ各球団へ驚異を与えたはずだ。

 ただ和田は楽観していない。開幕までにクリアしなければならない課題があるという。「最近、変化球に対してタイミングがよくない。かなり崩されている。足に体重が乗っていないんです」。軸足の右足にしっかりと体重を乗せ、球をぎりぎりまで引きつけて打つのが和田の打撃。だが、今は軸足に体重が乗らず体が前に行ったり、後ろに残ったりしているという。つまり「崩されている」のだ。

 5回、チャンスで力ない右飛に倒れた後、落合監督から打撃指導を受けた。試合中のベンチで開かれた“落合道場”が今の和田の状態を象徴していた。この日のヤクルトバッテリーに限らず、対戦相手は和田に対して変化球を中心に攻めてきている。「こういう攻められ方をするのかなというのはある」。軸足に体重が乗ってこそ変化球を引きつけて打つことができる。「変化球打ち」が打撃完成へのバロメーターのようだ。

 「(開幕までに)もう1度、緩い球を打とうと思っています。しっかりした自分の打撃をできるようにしないと」。開幕まであとわずか。08年オレ竜のキーマンは、この日の1発の感触を胸に、最後の調整へと向かう。【鈴木忠平】