中日落合博満監督(54)が広島との開幕戦(ナゴヤドーム)を翌日に控えた27日、レギュラー陣に“ムチ”を入れた。会見で「彼らがスキを見せた時にどういう結果になるのかは、彼らが1番よく知っている」と発言。2月1日のキャンプ初日に開幕スタメンを決定するなど主力8人に絶大な信頼を寄せる一方で、油断すれば即スタメン落ちを示唆。リーグ優勝、2年連続日本一へチームを引き締めた。

 開幕前日の緊張感がさらに張り詰めるひと言だった。落合監督は8人のレギュラーを中心に戦うことをあらためて宣言すると、その後にこう付け加えた。

 「このチームに甘えはない。彼らがスキを見せた時にどういう結果になるのかは、彼らが1番よく知っていると思う」。

 レギュラーと言えどもスキを見せた途端、その座ははく奪される。言葉にそんな厳しさが込められていた。実際に昨年も新外国人の李、中村紀をスタメンから外した。ベテラン山本昌を3度、2軍に落とした。どんなに実績があろうと甘えは許さない-。過去4年でプロフェッショナルとは何か、オレ竜の基本方針を選手にたたき込んできた。

 一方で、落合監督が主力8人に厚い信頼を寄せているのも事実だ。思えば2月1日の沖縄キャンプ初日、落合監督は「ポジションは8つ埋まっている」と早々に開幕スタメンを決定。自らの発言で主力に自覚をうながした。そして選手たちはキャンプ、オープン戦を通じてそれに応えた。だからこそ、今日の開幕戦、指揮官は自信を持って8人の名前をメンバー表に書き込む。

 「ここまでレギュラーがどういうキャンプをするのかを見てきた。私が思っているよりはるかに練習していた。ここまでやるのかというぐらい。レギュラーと若手との差は去年以上に広がった。やっとプロ野球選手というものがどういうものかわかってきた証拠だと思う」。

 落合監督はリーグ、日本シリーズの完全制覇という目標をあらためて口にすることはなかった。「今さら言う必要はない。最終的に目指すものは1つ」。すでに意志統一はできているという自負だろう。常勝監督は信頼の裏に、厳しさを秘めて5年目のシーズンへ臨む。【鈴木忠平】