<ヤクルト10-2巨人>◇30日◇神宮

 巨人が30日のヤクルト戦(神宮)で、まさかまさかの3連敗を喫した。投手陣が11安打10失点で、自慢の強力打線はわずか2得点と沈黙した。開幕カード3試合で計22失点は、85年の27失点以来ワースト2位タイで、ヤクルトに開幕3連敗は国鉄時代の58年以来。さらに前年の優勝球団が、最下位に3連敗するのはプロ野球史上初と、原巨人が屈辱の08年スタートとなった。

 降りしきる雨が、クラブハウスへ引き揚げる原監督の肩をぬらした。敵地で痛恨の開幕3連敗。開幕カード3連敗は05年以来8度目の屈辱だった。投手陣は10失点し、開幕3試合で22失点に膨れ上がった。冷たい雨より、試合内容の方が寒かった。

 緊迫感が漂ったのは5回までだった。同点で迎えた6回2死二塁。プロ入り初先発を2失点で切り抜けた栂野に打席が回り、代打亀井を送った。「あそこは1点を取りにいった」と原監督は勝負にいった。しかし無得点に終わると、交代した吉武が炎上。アッという間に3点勝ち越された。さらに3番手西村健も大乱調で、4番手越智は福川に満塁弾を浴び、救援陣が崩壊した。

 準備不足が招いた3連敗だった。春季キャンプ、オープン戦と若手の競争を打ち出したが、競争させる選手が多すぎ、投手陣の調整登板が不足した。中継ぎで連投したのは皆無で投球回数も少なかった。計22失点中、中継ぎの失点は12。尾花投手コーチは中継ぎ陣の不振の要因に「それはあるでしょう」と調整ミスを認めるしかなった。

 原監督は「見ての通り。何を言っても言い訳になる。投手の入れ替え?

 考えなければいけないでしょうね」と、早くも投手陣再編を示唆。救援陣は役割が不明確で、調整は難しい状況だ。役割がハッキリしているのはセットアッパー豊田、抑えのクルーンだけで、流動的な立場の投手は試合の入り方にも問題がある。

 また今季から先発ローテなど情報の漏出に厳しい方針を出した。しかしそれを防ごうとするあまり、選手への指示も少なく戸惑いは大きかった。選手の調整からごまかさなければならないケースも多く、投手陣の調整失敗の1つの原因にもなった。

 野手陣の準備も万全ではなかった。開幕前のナイター練習も平凡に終えただけ。28日開幕戦は初の屋外ナイターだっただけに、遠近感が狂い、フライの目測を誤り、痛い失点に結びついた。フライの練習を熱心にやっていたヤクルトとは対照的。選手が気がつかなければコーチが指示を出すべきだが、漫然とした練習で終わっていた反省はある。

 すでに開幕し、やり直しはきかない。原監督は「全力で戦ったが悔しい結果だった。開幕3連敗?

 まあ、去年もペナント3連敗した時もあった。東京ドームで切り替えて頑張ります」と前向きのコメントで締めた。開幕カードでヤクルト(当時国鉄)に3連敗を喫した58年は、優勝を飾っている。いきなりスタートで吹き荒れた逆風は、4月1日からの本拠地開幕の中日戦で追い風に変えるしかない。【小島信行】