<横浜2-1広島>◇4日◇広島

 広島大竹寛投手(24)がまたも見殺しにされた。7回まで横浜寺原と白熱の「ゼロ行進」を演じたが、8回にまさかのダブルエラーで2点を失った。反撃もあと一歩およばず、大竹はこれで開幕戦と合わせて防御率0・56ながら、またも白星に見放された。ブラウン監督の怒りも沸点ギリギリ。新エースの頑張りをこれ以上無駄にはできない。

 ガッツポーズのはずが、一瞬で暗転した。一塁方向を見つめた大竹は思わず天を仰いだ。梵の一塁送球は栗原のはるか頭上…。8回1死一塁から仁志を投ゴロに打ち取り、投―遊―一の併殺で終わるはずだった。しかしピンチは広がり、その直後に金城に右前に運ばれた。大竹はしばしボウ然としていた。

 「今日の負けは本当に悔しいです。悔しすぎて何もないです。疲れはあったけど最後まで投げるつもりだった。勝ちたかった」。

 ベンチ裏の薄暗い通路。多くの報道陣に囲まれた悲劇のエースは、声のトーンを抑えながらも、はっきりと悔しさを口にした。

 大竹が責められるはずもない。初回からフルスロットルでグイグイ加速した。格好の燃料が寺原だった。同期入団で同学年。2人は超高校級と騒がれ、プロ入り後も争うように成長を遂げてきた。「(試合当初は)意識していなかったけど、意識が出てきました」とライバル心があった。

 3回に天谷が投手寺原の打球を見失った(記録は右前打)。4回は栗原が送球を捕球ミス。一方では6回の天谷のスーパーキャッチなど助けられた部分もあったが、何事にも動じずに横浜を見下ろしていた。

 8回、ついにゼロ行進が止まった。梵は「僕の単純なエラーです。握りそこなった?

 そうです」。金城の先制打のあと、今度は三塁シーボルが村田の打球をポロリ。その後すぐにタイムリーを浴びるという同じ光景が繰り返された。

 ブラウン監督は怒りを隠さなかった。「守りで負けた?

 そのとおりだ。両投手がいい投球をしていた。横浜はよく守った。うちは守れなかった。それだけだ。大竹はあれだけ素晴らしかったのに勝ちをつけてあげられず、本当に残念だ」。

 前日やっと今季初勝利を挙げ、その原動力となった打線も沈黙。最後、9回2死一、二塁からは代打倉の右中間への打球が金城に好捕された。両軍守備の悲しいコントラストだった。【柏原誠】