<阪神6-2巨人>◇26日◇甲子園

 プロ初完投勝利。阪神岩田が巨人上原と堂々と投げ合い、9回6安打2失点(自責1)で3勝目。甲子園初勝利で、対巨人もこれで2連勝だ。負けなら今季初の連敗、初のカード負け越しとなっていたが、3年目の左腕が「プチ危機」を救った。

 美容院から足が遠ざかって2カ月以上がたつ。襟足は、帽子に収まりきらない。それでも切れなかった。岩田は、苦笑いで言う。

 「験担ぎなんです。キャンプのころから切ってなくて…。(1敗したが)ナイターだと切りに行けないですし」。2試合、勝ち星から遠ざかった。19日のヤクルト戦(神宮)では6回4失点で初黒星を喫したが、そこからブルペンでの投球を減らすなど、登板間の調整方法を変更したのが功を奏した。

 甲子園にこだまする「あと1人!」。夢心地の完投勝利を挙げた。「初めてだったんで、すごくドキドキして投げていました。終盤になって体が動かなくなってきて『マズイ』と思った。投げきることだけ。イニングごと、打者1人…。1球1球に気持ちを込めて投げることを意識していましたね」。合計102球で、巨人打線を手玉に取った。今季は2戦2勝。早くも『Gキラー』の期待も高まるが「まだ早いです。もっと勝ってから、そう呼ばれるよう頑張りたい」と控えめだ。

 岡田監督も信頼感を強めた。「球数が少なかったし、7回に最後まで行かそうと思ったよ。前回悪かったけど、6日間よく調整した。相性があるかもしれないけど、攻めの投球ができた」。今季3勝目を挙げ、資格の残る新人王候補にも浮上。チームは開幕から1カ月、まだ連敗していない。もう初々しい表情は消えた。その姿は、先発陣の一員としての自覚を漂わせる。【酒井俊作】