<横浜3-1広島>◇27日◇横浜

 横浜の窮地を新人が救った。大学・社会人ドラフト1巡目の小林太志投手(24=JR東日本)が広島戦で初先発、7回1失点と好投し初勝利を挙げた。セ・リーグ新人では今季最初の勝ち星だ。9回には寺原隼人投手(24)が登板し、6年ぶりにセーブを記録した。横浜は9カード目にして初のカード勝ち越し。大矢監督は「腹をくくってやります」と、反攻に開幕投手だった寺原を新守護神にすることを決めた。

 マウンドを下りてベンチに戻るたびに、小林はグラブをポンポンとたたいた。自らを鼓舞するように続け、7回を投げきった。お立ち台で1万人を超えるファンの歓声を浴びると「うれしいです。緊張してたけど、3回以降は斉藤(投手)コーチのアドバイスで、いい投球ができました」と笑みがこぼれた。

 初回は力んだ。広島の先頭赤松に、高めに浮いた直球を中前に運ばれた。2死二塁となって、4番栗原にも高め直球を打たれ、先制を許した。2回にも先頭石原に安打を許すと、2死二、三塁のピンチ。だが、ここで崩れなかった。前の打席に安打された赤松を中飛。カウント2-1からインロー143キロで料理した。「下半身を使って投げろ」という首脳陣のアドバイスを受け、3回以降は2安打無失点。直球とチェンジアップを織り交ぜ、堂々の無四球投球だった。

 セ・リーグ新人では白星一番乗り。ドラフト1巡目の実力を発揮したが「パの新人は、みんな活躍してますし。僕は開幕1軍にも入れなかった。乗り遅れている感じがあって。とりあえず、スタートしたかな」と謙虚に話した。オープン戦は3試合で1勝したが、防御率7・00。自慢の直球が走らなかった。

 ファームでの“特訓”が実を結んだ。水をいっぱいまで入れたコップを両手に持ち、腰を地面と平行にひねる練習を繰り返した。少しでもバランスが崩れれば、水がこぼれてしまう。平衡感覚とスムーズな体重移動を鍛えた。ファームの練習は昼間が中心。甘いマスクは日焼けしたが「だいぶ球がいくようになりました」と自信をつかんでいた。

 大矢監督は「十二分にローテ入りできる内容だった」と目を細めた。待望のカード勝ち越しだが、まだ借金は11ある。それでもJR東日本から入った新人右腕の白星は大きなプラス。チーム浮上へ、“ハマのエクスプレス”が出発進行した。【古川真弥】