<中日10-3広島>◇7日◇ナゴヤドーム

 これはもはや旅行だ。広島カープが19泊20日の長期遠征をスタートさせた。5日、広島でのデーゲームを終えて夜に名古屋入り。東京や北陸シリーズを経て交流戦まで一気になだれ込む。「帰宅」は24日の夜になる。今季12球団で最長、近年の球界でも例を見ない死のロード。ブラウン監督が今季の節目ととらえる長丁場をどう乗り切るのか。スタッフの声を聞いてみた。

 約3週間も広島を離れる選手は愛妻の手料理も食べられなければ、子供の顔を見ることもできない。トラックで用具運搬を担当して32年の前真澄さんは「こんな長いのは最近では記憶にない」と苦笑い。遠征終盤の東京→博多→大阪が最大の“難所”といい「広島を2回も素通りするのがなあ」とボヤいた。

 最も懸念されるのは選手の体調管理だ。根本アスレチックトレーナーは体を動かす場所に気を使う。「投手も野手も遠征先でいかにウエートをこなせるかが大事。長期遠征だからというわけではないが、遠征先でもジムを確保して、体を動かしてもらうようにしている」と説明した。

 名古屋、横浜、東京、神戸などセ・リーグの試合で回る各地で定期的にジムでの調整を課してきた。各地での体調管理のノウハウはできあがっており、大きな不安材料はない。ただ「やっぱり北陸など地方球場は場所の確保が難しい。試合後はすぐバスで移動するのでストレッチが十分にできない」と明かした。バス移動後は腰回りなどの手入れを入念に行う。

 一方、19泊遠征を特別視しない声も多い。小林投手コーチは「もともと広島はよその球団よりも移動距離や遠征期間が長い。個人個人でストレッチの大切さも分かっている」と心配しない。蔦木トレーナーは「むしろ選手と一緒にいる時間が長くなるので情報も入りやすい」と管理面でのプラス要素を挙げた。

 ブラウン監督は「この遠征がシーズンの節目になる」と断言した。広島にいい“おみやげ”を持ち帰りたい。【柏原誠】