<楽天6-1中日>◇20日◇Kスタ宮城

 化かし合いは楽天野村監督の勝ち!

 伏兵・塩川の二盗、三盗が、落合中日をKOした。1-1同点の8回だ。無死一塁で代走にはここまで3盗塁の高波ではなく2盗塁の塩川が送られた。塩川は、山崎武のカウント2-1からのフォークで二盗を決めた。次打者リックの初球に三盗完成。リック四球で1死一、三塁からフェルナンデスの左前打で、決勝のホームを踏んだ。この1点を起点に、打者一巡で5点を奪った。

 終盤の1点勝負。塩川だから、球界を代表する谷繁から2盗塁をマークできた面もある。代走が、走り屋の高波、聖沢ならば、中日は警戒をもっと強めたはず。野村監督は「高波は盗塁するというのは先入観。塩川は聖沢に次いで、2番目に足が速いんだ。でも、そういえば、けん制もなかったな」と、塩川によるスキが生じたと指摘。4番、5番の打者相手に集中したい中日平井は、山崎武の初球前に1度、けん制しただけだった。さらに「あの子はしっかりしているから。いつもベンチでタイミングの練習している。塁に出てからでは、いいスタートはできない。あの二盗、三盗は効いたね」とヒーローを絶賛。山崎武への唯一の変化球を見抜いて走ったのも、殊勲だった。

 塩川は「タイミングが合えば行けと言われていた。緊張したけど、その分、腹はくくれた。あんまり警戒されませんでしたね」と盗塁は自身の判断と話す。常に次の塁を狙っている普段の姿勢が、大事な場面で花開いた。

 予告先発のない交流戦。「ウチの監督は、だますのは好きだけど、だまされるのは大嫌い」と首脳陣も話す通り、策士・野村監督は「ウキウキする」と話していた。まして、互いに理論派と認め合う落合監督に先勝。「あいつが一番ショックやろう」とニンマリだ。試合後は、会見の入り口を素通りするパフォーマンスも披露。報道陣にも策士ぶりを発揮するほど、気分いい快勝だった。【金子航】