<横浜5-4西武>◇21日◇横浜

 男らしい、迷いない豪快なスイングだった。横浜村田が同点、サヨナラの2発で勝利の主役を独り占めした。同点の10回2死。西武グラマンの148キロを逆方向へたたき上げた。「せっかくライトスタンドにたくさんのお客さんが入っていた。村田風も吹いていた」。右中間へはじき返す打撃の基本に立ち返った。フェンス上ギリギリの低い弾道がスタンドに飛び込むと、右手を高く突き上げた。

 「村田劇場」の一夜だった。敗戦ムードが漂う1-4の土壇場8回には帆足から同点3ラン。外角チェンジアップをやはり右中間へ逆らわずに運んだ。「前の打席は直球で抑えられていた。そろそろ緩い球が来ると思っていた」。これだと決めたらフルスイングするだけ。冷静さを保ちながらも、最下位チームの4番の意地をボールにぶつけた。

 20日に北京五輪代表メンバーが39人に絞られた。昨秋のアジア予選で三塁手のレギュラーを張った自負もある。「三塁は中島(西武)とセットで見られている節もあった。そういう意識はどこかありました」。星野代表監督が言う複数ポジションを守れる選手の起用「ツープラトン」戦略に胸の内は燃えていた。

 チームは今季3度目の連勝で交流戦5勝目。サヨナラ勝ちは5月13日の巨人戦以来2度目。興奮の渦に包まれた横浜スタジアムのファンに向かって叫んだ。「まだ前半戦。これから後半戦もある。あきらめずに最後までプレーオフを目指します」。借金27は重たいけれど、巻き返しへ1つの弾みにしたい。そんな可能性を予感させるほどの、力強い2発だった。【山内崇章】