日本ハムに思いがけない長~い1日が待っていた。4日に、5日のオリックス戦(釧路市民)のために釧路入りしたが、同地が霧による視界不良のため、搭乗予定だった札幌丘珠空港発の全日空機が欠航するアクシデントに見舞われた。チームは急きょJRでの移動を余儀なくされ、宿舎に着いたのは予定より約6時間遅れの午後6時半すぎ。約7時間半の長旅で練習も中止となった。さすがに自然には勝てないが、選手は一様に疲労困ぱいだった。

 モヤから浮かび上がってくる顔は、どれも疲れ果てていた。長旅を終えて釧路駅に到着した梨田監督は「過去にもこういうのはあったと思うけど、団体でっていうのはなかったかな。しゃあない。自然には勝てない」と表情をゆがめた。

 合宿所から丘珠空港へと向かうバスが出発したのは午前10時50分。しかし10分後の同11時に、空港では欠航を知らせるアナウンスが流れていた。すぐに関係者を通じてバスへ連絡が入ると、運転手が車内放送で「欠航になったそうです。JR移動となるので引き返します」とひと言。その瞬間「まじ~」、「どれだけ(時間が)かかるんだよ~」と選手の絶叫が響いた。

 自宅から直接空港へ向かう組には連絡が行き届かず、主力選手が次から次へと飛ばない飛行機が待つ空港へと姿を見せた。夫人とともに到着した建山、ダルビッシュはすぐに車へと引き返し、1人だった紺田は「うそ!

 どうすればいいの?」と困惑。タクシーに乗って現れた森本、田中の2人も「えっ、そうなの!?

 欠航なんだって」と驚く田中に、森本も「えっ、今何て言った!?

 …じゃあとりあえずメシ!」とコントのような問答を繰り広げ、その最中に稲葉が登場して「何があったの?」と目を見開いた。

 結局引き返したバス組は合宿所で、それ以外のメンバーはおのおのが時間をつぶして午後2時20分発のJRで釧路を目指したが、宿舎に到着したのは、対戦相手のオリックスより遅い午後6時半すぎ。わずか45分のフライトのはずが、7時間半と霧の釧路にキリキリ舞いした。「天は味方につけないとね」。指揮官は恨めしそうに空を見上げ、年1回の道東シリーズへ気持ちを切り替えた。【本間翼】