<広島3-5ヤクルト>◇6日◇広島

 建さん、次こそ-。広島は接戦を落とし、9度目の挑戦もまた「5割の壁」に阻まれた。だが、先発高橋が炎熱のマウンドで熱投をみせ6回2失点。勝ち負けはつかなかったが光がさす投球だった。巨人戦に次ぐ2試合連続の好投は、ベテラン左腕の復活を印象付けた。

 フェンス際でジャンプしたアレックスのグラブのわずかに先を越えて、打球がスタンドインした瞬間、高橋はその後ろ姿をじっと見つめていた。1-1の6回だ。先頭青木への初球、124キロスライダーは甘く入った。悔やんでも悔やみきれない1球。高橋はそんな表情をしていた。

 この日広島の最高気温は33度。マウンド上はもっと高かっただろう。しかし、39歳の高橋は暑さに負けなかった。直球とシンカーを軸に3回までは1安打。最速は146キロに達した。1-0の4回、1死満塁とされるが、1点のみで切り抜けた。だからこそ、あの1球が悔やまれた。

 高橋

 あの本塁打は防がなきゃ。悔しい。あそこでスライダーは投げたくなかった。打たれる確率の高い球。自分の中で整理がつかないまま投げてしまった。冷静に考えれば投げるべきではなかった。

 本塁打の直後、畠山の痛烈な打球が左太ももを直撃した。いったんベンチに下がったが、自分で志願して再びマウンドに向かい6回を投げきった。

 収穫はもちろんあった。6安打3四球で2失点。前回登板に続いて身上の粘りをみせた。5回には1死一、二塁で宮本を遊ゴロ併殺。

 高橋

 冷静に判断してゲッツーの欲しいところで取れた。粘れるようになったのは自信になる。それしかないから。足は大丈夫です。勝たなきゃしょうがない。勝てるようなアクションを必死にやっていく。

 高橋は5月23日のオリックス戦以来、1カ月半勝ち星がついていない。次こそ-。頼れる左腕なくしては、後半戦は戦えない。【網孝広】