<中日8-0広島>◇21日◇ナゴヤドーム

 いつも慎重な中日山本昌投手(42)の口から今季中の200勝宣言が飛び出した。広島相手に通算198勝目をマークして上がったお立ち台で「あと2勝ですね」と振られると照れ笑いの後に決意したように言った。「去年から苦しみましたけど…。今シーズン中にしっかりと頑張りたいと思います!」。

 初回から制球力が抜群で、リードする谷繁のミットがほとんど動かなかった。2点の援護をもらった後の5回1死二塁、打席に8番小窪を迎えた。初球の111キロスローカーブは決まったかに見えたが、ボールと判定された。ここで落合監督がベンチを立った。主審に抗議するとそのままマウンドに来た。「変えるなよ」。判定によって自分のストライクゾーンを変えるなという意味だった。山本昌はうなずいた。

 小窪を一邪飛に打ち取ってピンチ脱出。6回80球を投げて4安打無失点で2番手浅尾にバトンを託すと高橋、ネルソンとつないで5月26日ソフトバンク戦以来、約2カ月ぶりの0封勝利となった。

 2連勝で、早ければ球宴明けの8月3、4日巨人戦にも快挙達成の可能性が出てきた。「コントロールがね。いいところに決まった。昔から暑い時の方が好きだから」。毎日、ナゴヤドームの駐車場に到着すると愛車を降りて車の正面に立つ。車が駐車ラインに沿っていないと気が済まない。数センチ曲がっていてもやり直す。そんなきちょうめんな山本昌らしい精密なコントロールが、大好きな夏を迎えて戻ってきた。

 チームも2連勝で首位阪神とは12ゲーム差、4位ヤクルトとは2ゲーム差となった。含み笑いの落合監督は「きょうは何もありません」と言い残してわずか5秒で会見場を去っていった。言うことなしの勝利だった。【鈴木忠平】