<阪神1-6広島>◇5日◇京セラドーム大阪

 首位を走る阪神が2連敗を喫し、優勝マジックが消滅した。広島戦(京セラドーム大阪)で打線が金本知憲外野手(40)のソロ1発のわずか1得点と沈黙。1点差の7回から登板した久保田智之投手(27)が1アウトしか取れず、4失点で試合を壊した。広島の「マエケン」こと前田健太投手(20)が6月27日以来の3勝目を挙げた。これで試合がなかった2位巨人の自力Vの可能性が復活した。

 久保田が5日前の球宴第1戦での失態を同じ京セラドーム大阪で繰り返した。セ・リーグ勝利をフイにした球宴での炎上には「まあいいよ」と冷静だった岡田監督だが、さすがに優勝マジックを消滅させられては笑えなかった。

 逆転を信じ1点差の7回に久保田を投入した。だが反撃ムードをつくるどころか、1アウトを奪うのが精いっぱい。3安打と2死四球で一挙4失点。岡田監督は「何度もあったら困るけどな。四死球のひとり相撲?

 オレに聞かれても分からんわ。初登板の投手と違うのに、ストライクが入らんようになるんやから」とあきれた。

 北京五輪で守護神藤川が抜けている。期待と責任の増える久保田は防御率3点台に逆戻りで、相変わらず不安定だ。岡田監督は「1点差でもいかせたのに、後ろの外国人につなげないやないか。この3試合の後は(4日間)試合がないからつぎ込もうと思ったのに」と振り返った。1点差でウィリアムス、リーソップの勝ちパターン継投で逆転勝ちを狙う青写真はもろくも崩れた。

 7月22日巨人戦でともしてから減らしてきた優勝マジックナンバーが、この1敗で消滅した。85、03、05年とマジック点灯後は1度も消滅せずにゴールしたものの、マジックが消え嫌な雰囲気が漂った。自力優勝の可能性が復活した2位巨人とは9ゲーム差で慌てる状況ではない。ただ、藤川不在の五輪期間に久保田が踏ん張らなければ、不安のさざ波は大きくなる。【町田達彦】