鳥谷が飛んだ。普段はクールな男のヘッドスライディングが沈黙の打線に火を付けた。降雨ノーゲームとなった4日の横浜戦、3点ビハインドの2回。先頭で打席に入り三塁線を破ると、最後は二塁ベースに頭から突っ込んだ。「中止になったんでね。あまり関係ないでしょ」。鳥谷が今季初めて見せたヘッドスライディングにベンチは活気づいた。この二塁打を口火に、いったんは同点となる3点が生まれた。

 連敗脱出へ、阪神首脳陣は主軸の並びを入れ替え、3番固定だった鳥谷を入団5年目で初の5番起用。逆に林を今季初めて3番に上げた。最終的には3回裏終了後、雨天ノーゲーム。鳥谷は即座に前を向いた。「しっかりそれぞれが仕事をできていれば勝てると思う。いい中止になれば、明日につながれば、と思う」。分厚い雲の合間から、打線のつながり復活を感じさせる光が見えた。